カフタン(読み)かふたん(英語表記)Julius Kaftan

デジタル大辞泉 「カフタン」の意味・読み・例文・類語

カフタン(caftan)

近東諸国など、イスラム文化圏で着用される前開き服。長袖丈長で、ほぼ直線裁ち。

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精選版 日本国語大辞典 「カフタン」の意味・読み・例文・類語

カフタン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] caftan ) トルコ、アラビアなどで着る、帯付きの長袖の上衣。また、モロッコ婦人が着用する、大きなフードの付いた長袖の長着をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「カフタン」の意味・わかりやすい解説

カフタン
kaftan

襟はなく,前あきですその長いゆったりした上着をいう。外套のようにいちばん上に着る。この形式の上着は中央アジア,中東諸国に広く分布している。語源チュルク語のkaftan。1074年ころに書かれたマフムート・カシュガリーの《トルコ語辞典》にも外衣としてカフタンがしるされている。最古のカフタンは,ノイン・ウラの匈奴の墓から発見された絹地の服である。カフタンはアラビア語でヒルアkhil`aと呼ばれ,オスマン朝の宮廷では,スルタン高官や外国の使節への下賜品として与えた特別な衣服であった。スルタンの礼装用のカフタンは華麗な模様入りの絹地で,腕を通さない長い袖(補助袖)がつけられていて,式典では手の代りに袖口(イェン)に接吻させた。スルタンは服装改革が行われる1828年までカフタンを着用したが,その形は,14世紀のものと少しも変わっていない。シリアやベドウィンの首長や長老(シャイフ)はカフタンを冬用の外套として愛用した。ロシアでも古くから身分の上下にかかわりなく,カフタンが着用され,20世紀初めまで民族服として各地で用いられた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カフタン」の意味・わかりやすい解説

カフタン
かふたん
Julius Kaftan
(1848―1926)

ドイツのルター派神学者。9月30日シュレスウィヒ州アペンラーデ近郊のロイトに生まれる。1881年バーゼル大学正教授、1883年ベルリン大学教授。1919年以後、宗教局次長を兼任。1926年8月27日ベルリンにて没。リッチュル学派に属し、宗教哲学的傾向が濃い。キリスト教に対するカント哲学の意義を高く評価し、宗教を「人間精神の実践的な事柄」と定義し、キリストの歴史的啓示から、歴史的明証性と普遍妥当性を価値判断の形で証明することを試みた。ただし、神秘性と権威とを倫理性と結合しようとした限りでは、リッチュルを修正したといえよう。兄のテオドールTheodor Kaftan(1847―1932)も牧師かつプロテスタント神学者として知られる。

[森田雄三郎 2018年1月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カフタン」の意味・わかりやすい解説

カフタン
caftan(kaftan)

トルコ,イランなど西アジア地方で着られる足首丈,長袖,前開きまたは前合せの服。語源はトルコ語の quaftān,またはペルシア語の khaftān。この地方では古代から上中層階級の人々に着用された型の衣服で,形は日本のきものに類し,概して身頃,袖とも直線裁ち,両脇に襠 (まち) を補い,やや体型に沿わせている。袖は幅がゆったりし,袖口が細くなっている場合が多い。前合せにして帯を締めるか,羽織風に前を開け放したまま,紐または留め具で留める場合もある。西洋では貫頭衣のポンチョ式に対する語として,前開き服のことをカフタン式またはカフタン型と呼び,衣服の基本型の一つになっている。

カフタン
Kaftan, Julius Martin

[生]1848.9.30.
[没]1926.8.27.
ドイツのルター派神学者。ルター派牧師のテオドール・カフタンの弟。バーゼル大学組織神学教授を経て,1883年よりベルリン大学宗教哲学教授。 A.リッチュルの思想の影響を受けた神学を展開した。主著に『キリスト教の本質』 Das Wesen der christlichen Religion (1881) ,『教義学』 Dogmatik (97) ,『イエスとパウロ』 Jesus und Paulus (1907) 。

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世界大百科事典(旧版)内のカフタンの言及

【民族服】より

…第2はドレーパリーdraperyといわれる〈巻き衣〉の系列で,アフリカやイスラム圏の一部に見られる。第3はカフタンといわれる〈前開き服〉の系列で,西アジアから極東を結ぶ線上に連なる諸族間にしばしば典型を見ることができる。カフタンはもともとポンチョと呼ばれる〈貫頭衣〉形式から発展したとする説もあるが,はっきりしたことはわからない。…

※「カフタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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