サトイモ科カラジウム(ハイモ)属の球茎植物で,南アメリカの熱帯地域に15種ほどが分布する。サトイモの葉を小型にしたような楯形の葉を多数根生し,美しい色や模様があり,夏の観葉鉢物として人気がある。栽培品はニシキイモC.bicolor Vent.(英名two-coloured caladium)を中心にして改良された園芸品種(C.×hortulanum Birdsey)で,明治中ごろに渡来した。キャンディダムcv.Candidumは白地に葉脈と葉縁部が濃緑色となる強健種で,葉柄も短く,草姿がよく,最も普及している。輸入品種だが,白鷺(しらさぎ)の名で呼ばれることが多い。赤色斑の品種にはクリムソン・ウェーブcv.Crimson Wave,ロード・ローゼンベリーcv.Lord Rosenberryがある。ヒメハニシキC.humboldtii Schottは暗緑色に白斑の入る野生種で,草丈15cmほどの小型種である。ニシキイモのほか2~3の種が南米では根茎や果実,若葉が食用にされている。園芸的に培養するときは,秋まで葉を生存させ,球根を肥大させる。葉が枯れたら,鉢ごと乾かして,春まで休眠貯蔵する。低温では球根が腐るので,15℃以上が望ましい。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の観葉植物。和名ニシキイモ。南アメリカに16種分布し、このうち2種が観賞用に栽培され、いずれも不耐寒性の球根草である。一般にカラジウムと称するC. bicolor Vent.はサトイモの葉を小形にしたような薄い楯(たて)形の葉をもち、赤、紫、桃、白などの紋様や斑(ふ)が入って美しい。日本には明治中期に渡来し、初夏からの観葉鉢植えとして利用が多い。多くの品種があるが、日本では白地に鮮緑の葉脈が入るキャンデダム(和名シラサギ)がよく栽培され、このほかに、葉が5~7センチメートルと小形の卵状形で葉脈間に大小の白斑(はくはん)が鮮明に入り、小鉢植えとされるヒメハニシキがある。カラジウムの球根は2~3月に入手し、湿ったミズゴケに植え、25℃くらいの温度で芽を出させてから鉢に植え付け、半日陰でやや湿り気を多くすると、美しい葉が展開する。秋、葉が枯れたら球根を掘り上げ、湿った砂に埋め、10℃以下にならない所で春まで貯蔵する。
[鶴島久男 2022年1月21日]
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