カンエンガヤツリ(読み)かんえんがやつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンエンガヤツリ」の意味・わかりやすい解説

カンエンガヤツリ
かんえんがやつり / 灌園蚊帳吊
[学] Cyperus exaltatus Retz. var. iwasakii (Makino) T.Koyama

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の大形の草。高さは1メートル前後になり、茎は三稜(さんりょう)形である。大形の花序が茎の先につき、黄褐色の小穂が密につく。日本では湿地にまれに生え、渡り鳥によってもたらされた帰化植物と考えられる。熱帯に広く分布する多年草であるが、日本のものは一、二年草の性質を帯びる。和名は、江戸時代の本草学者岩崎灌園(かんえん)にちなんでつけられた。朝鮮ではこれをワングル莞草)とよび、敷き物をつくるのに用いる。

[木下栄一郎 2019年7月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版 「カンエンガヤツリ」の意味・わかりやすい解説

カンエンガヤツリ【Cyperus exaltatus Retzius ssp.iwasakii (Makino) T.Koyama】

朝鮮,中国,マレーシアオーストラリアに分布するカヤツリグサ科の草本で,日本では第2次世界大戦後北海道,東北地方でむしろを編む作物材料として栽培された(イラスト)。カンゾウ(莞草)ともいう。朝鮮のワングルも本種のことである。熱帯地方では宿根多年草で,温帯では一年草。湿地に生え,地下に短い地下茎があり,稈(かん)は三稜形で高さ60~90cm。葉の基部は葉鞘(ようしよう)となって茎を抱き,葉身は幅0.8~1.5cm,上面に2稜がある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「カンエンガヤツリ」の意味・わかりやすい解説

カンエンガヤツリ

カヤツリグサ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典内のカンエンガヤツリの言及

【カヤツリグサ】より

… カヤツリグサ属Cyperusは,スゲ属に次ぐカヤツリグサ科の二大属の一つで,全世界の熱帯,亜熱帯を中心として400種余りある。上記の3種のほかに,水田の雑草にはタマガヤツリ,ウシクグ,コアゼガヤツリ等があり,大型で沼に生えるツクシオオガヤツリ,カンエンガヤツリ,ヌマガヤツリ等は南方や中国大陸から渡り鳥が運んで来たものと思われる。有用植物としては,エジプトのパピルスのほかに,シチトウイのように長くまっすぐな茎をもつものが編料として利用される。…

※「カンエンガヤツリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

アルツハイマー

[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...

アルツハイマーの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android