精選版 日本国語大辞典 「カーボンブラック」の意味・読み・例文・類語
カーボン‐ブラック
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
炭化水素の熱分解と不完全燃焼とを,巧みに制御して生産される微結晶を含む球状または鎖状の黒色粒子のこと.製造方法の違いや原料の選択によって,カーボンブラックのもつ基本的な性質,たとえば粒子径(10~100 nm)や比表面積(20~300 m2 g-1),グラファイト類似の結晶子の大きさやその配向性,粒子表面にある酸素含有基の量や,泥状体の示す pH,さらにはストラクチャー(structure)とよばれる粒子相互の融着状態と凝集傾向などが異なってくる.タイヤをはじめ,各種のゴム製品の補強剤に用いるカーボンブラックは,その全生産量の95% 近くを占めているが,そのほとんどは石油系重質油やクレオソート油などを原料として,ファーネス炉でつくるオイルファーネスブラックである.このほかに天然ガスを用いてガスファーネスブラックもつくられているが,比較的古くから行われている製法の一つにチャンネル式がある.これはガス状炭化水素の炎を,冷たいチャンネル鋼の表面に衝突させて,チャンネルブラックを得る方法である.粒子の小さいものは高級なカラーブラックとして賞用される.なかには10 nm に近い粒子径のものも含まれている.一方,天然ガスや石油などを炉で熱分解させて,比較的粒子径の大きいサーマルブラックが生産され,アセチレンからは電気抵抗値の小さいアセチレンブラックが生産されている.ランプブラックは,その製造法の原理が古代中国の松煙や油煙にまでさかのぼるが,近代設備による生産量は少ない.各種のカーボンブラック粒子は不対電子をもっており,粒子表面にはキノンやヒドロキノン,あるいはカルボキシル基などの酸素含有基がある.表面の酸素含有基は,ファーネスブラックでは少なく,チャンネルブラックに多い.なお,粒子表面の構造は多環芳香族炭化水素の誘導体に似ており,各種の遊離基と反応をする.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
いわゆる煤(すす)のことである。古代からもっとも身近にある優れた黒色の粉体で、インキ、墨、絵の具に用いられてきた。20世紀になり、ゴムの補強剤として認められ、ゴム工業の発展とともに、カーボンブラックの製造も盛んになった。このような用途のほか、ポリマーの耐候性劣化防止、電導性向上を目的とした用途、あるいは炭素材に使用されている。カーボンブラックは、炭化水素が熱分解あるいは不完全燃焼することにより生成する。したがって製法は、熱分解法と不完全燃焼法とに大別される。
カーボンブラックは、グラファイト型構造の炭素六角形の網目の層が3~5層重なり、これが鎖状に連なった構造(これをストラクチャーという)をしている。この層にはカルボキシ基(カルボキシル基)、ヒドロキシ基、カルボニル基などの基が存在するものもある。カーボンブラックの物性を支配する三つの要素は、粒子径、ストラクチャーと表面の性質(pH、揮発分)である。粒子径は通常10~500ミリミクロン、粒子径が小さいほど黒の色調が強く、着色力も大きい。ストラクチャーはジブチルフサレート(DBP)の吸着量により測定でき、各種バインダーへの配合性、粘度などのほか黒の色調にも影響する。表面の酸化の状態は、水でスラリーをつくり、そのpHを測定し、7以下の場合、酸化を受けているとされる。表面の状態は、各種ワニス類との親和性、インキの流動性、塗料の安定性に影響する。
[大塚 淳]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…補強性充てん剤はゴムの耐摩粍性,引張強さなどの機械的性質を高める効果をもつ。この代表的なものがカーボンブラックで,補強効果も抜群である。カーボンブラックにも多くの種類があり,その製法や原料によって粒径,表面積が異なる。…
…
[製法・用途]
工業的に各種炭素製品がつくられており,原料としては石炭,石油,天然ガス,天然黒鉛などが普通に用いられるが,目的に応じて合成高分子なども用いられる。無定形炭素としては,カーボンブラックと活性炭が最も多くつくられる。カーボンブラックは自動車のタイヤなどをはじめとして各種ゴムの充てん剤として多く用いられ,また印刷インキとして用いられるが,主として天然ガスあるいは石油の不完全燃焼によってつくられる。…
※「カーボンブラック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新