世界大百科事典 第2版 の解説
ガルシラソ・デ・ラ・ベガ【El Inca Garcilaso de la Vega】
ペルーの年代記作者。同名の詩人の家系のコンキスタドール(征服者)とインカの王女との混血児として,クスコで生まれた。インカ帝国の栄光を伝えた《インカの起源にかんする真実の記録》(または《インカ皇統記》,1609‐17)は,インディヘニスモ文学の先駆的作品に位置づけられている。1560年にスペインへ渡り,死ぬまでそこにとどまったものの,インカ文明に対する強いあこがれを保持し,インカ文明をヨーロッパ社会と文化との対比において歴史的に叙述したものである。
ガルシラソ・デ・ラ・ベガ【Garcilaso de la Vega】
スペイン・ルネサンス期を代表する詩人。トレドの名門貴族に生まれ,文武両道に秀でた理想的な宮廷人として,早くからカルロス5世の宮廷で名をはせ,その生涯のほとんどを皇帝のもとでの戦争に捧げた。1525年に宮廷の貴婦人エレナ・デ・スニガと政略的な結婚をしたが,翌年ポルトガル人のイサベル・フレイレと出会い,その報われぬ恋を詩の主たるテーマにした。32年に主君カルロス5世とのいざこざのため宮廷から追放され入獄のうきめにあったが,友人たちのとりなしによりナポリに落ち着き,そこで彼の芸術が開花することになった。
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