クアッガ(読み)くあっが(英語表記)quagga

翻訳|quagga

改訂新版 世界大百科事典 「クアッガ」の意味・わかりやすい解説

クアッガ
quagga
Equus quagga

後半身に縞がない絶滅したシマウマ。奇蹄目ウマ科の哺乳類。この名はコイ・コインのもので,声がクァハハと聞こえるのに由来する。体長約2m,尾長約60cm,体高1.3~1.4mくらい。サバンナシマウマに酷似し,その亜種ともされるが,一部地域には両者が混ずることなく並存していたとの記録もあり,別種説が有力である。体は黄褐色ないし栗色で,体の下面,四肢,首,尾が白く,両部の境は鮮明。頭と首および胴の前部に褐色~黒褐色の横縞背筋に黒褐色の1本の縦縞がある。耳介は短く,先が黒い。かつては南アフリカのケープ州からナマカランド,カラハリ砂漠,トランスバールまでの草原大群が見られたが,肉や皮を目的にボーア人に乱獲され,現地では1878年に射殺されたのを最後に姿を消した。動物園に飼われていたものもロンドンのが1872年,ベルリンのが75年,アムステルダムのが83年に死に,剝製が19個,生時の写真が3枚残るだけといわれる。
シマウマ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クアッガ」の意味・わかりやすい解説

クアッガ
くあっが
quagga
[学] Equus quagga

哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。シマウマの1種で、南アフリカ共和国南部の平原サバナ(サバンナ)に群れをつくって多数いたが、絶滅した。体高1.35~1.38メートルで、サバンナシマウマE. burchelliより大きい。白色の縞(しま)模様は頭、頸(くび)、胴の前半分だけにあり、地色は栗(くり)色か茶色で、体の下面と四肢は白色。ウマでは前後肢の内側にある夜目(よめ)というたこ状の無毛部は、ロバと同じく前肢のみにあるが小形で、ひづめはやや大きく、耳は短めで、ロバよりはウマに似た体をしている。本種をサバンナシマウマと同一種とする説もあるが、両者は生息地が重なっていながら交ざることなく別の生活をしていたことから、別種として扱われることが多い。

 クアッガの絶滅の原因は、肉や皮を目的とした人間による乱獲で、1878年に野生のものはいなくなった。飼育例もいくらかあるが、最後の個体は1883年にアムステルダムの動物園で死亡した。名前は鳴き声に由来する。

[祖谷勝紀]

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世界大百科事典(旧版)内のクアッガの言及

【シマウマ(縞馬)】より

…【今泉 吉晴】。。…

【シマウマ(縞馬)】より

…ケープヤマシマウマE.z.zebraとハートマンヤマシマウマE.z.hartmannaeの2亜種に分けられ,前者は絶滅寸前の状態にある。クアッガE.quagga(イラスト)は体の前半部にのみ縞模様をもった特異なシマウマ。南アフリカに生息したが,開発のため,1860‐70年ころ絶滅し,飼われていた最後の個体も83年アムステルダム動物園で死んだ。…

※「クアッガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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