日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グレート・バリア・リーフ
ぐれーとばりありーふ
Great Barrier Reef
オーストラリア大陸北東部、クイーンズランド州東岸の沖合い、南緯10~24度にある世界最大のサンゴ礁。「大堡礁(だいほしょう)」と訳される。長さ約2000キロメートル、海域の面積約20万平方キロメートル。北部から南部に向かってしだいに海岸から遠ざかり、幅が広くなる。幅は20~240キロメートル。サンゴ島や、かつての本土の一部が沈降した島など、大小700の島が散在する。サンゴ層は約1万5000年前から形成され、厚さは最大152メートルに達する。生きたサンゴは約350種に上り、このほか世界最大の貝(シャコガイ)を含む多くの魚貝類や鳥類が生息しており、野生生物の保護地域になっている。しかし近年、ヒトデの一種(オニヒトデ)による生きたサンゴの被害が問題となっており、天敵(貝の一種)の導入など、いくつかの対策が検討されている。また、石油資源探査を含む経済活動や、本土側からの排出物などによる海域の汚染の可能性も問題となっている。
オーストラリアの代表的な観光地の一つで、年間30万人を超える観光客が、サンゴ礁の景観と温暖な気候を求めて訪れる。とくにグリーン島(ケアンズ沖合い)やヘロン島(グラッドストーン沖合い)など、いくつかの島にはホテルなどの観光施設もあり、定期船やヘリコプター便などで結ばれている。そのほかの島々にも、本土側の主要都市を基地に、遊覧航海や遊覧飛行の便がある。1606年トレス、1770年クック、1802年フリンダーズが来航した。1981年に世界遺産の自然遺産として登録されている(世界自然遺産)。
[谷内 達]