ケッペン(英語表記)Köppen, Wladimir Peter

精選版 日本国語大辞典 「ケッペン」の意味・読み・例文・類語

ケッペン

(Wladimir Peter Köppen ウラジミール=ペーター━) ドイツ気象学者。ロシアペテルブルクに生まれる。ハンブルク気象台員。世界気候分類法考案。また、航海者のための海洋気象図や航海気象便覧などを編集。(一八四六‐一九四〇

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デジタル大辞泉 「ケッペン」の意味・読み・例文・類語

ケッペン(Wladimir Peter Köppen)

[1846~1940]ドイツの気候学者。ロシア生まれ。植物分布と気候との関係研究し、世界の気候帯区分を提唱した。→ケッペンの気候区分

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケッペン」の意味・わかりやすい解説

ケッペン
Köppen, Wladimir Peter

[生]1846.9.25. ロシア,サンクトペテルブルグ
[没]1940.6.22. オーストリア,グラーツ
ロシア生まれのドイツの気候学者。ロシアの歴史研究家ペーター・フォン・ケッペン Peter von Köppen(1793~1864) の子。1866年ハイデルベルク大学で植物学を専攻。1869年ライプチヒ大学で学位取得,ペテルブルグ中央物理観測所助手。1874~1919年ハンブルクのドイツ海軍気象台研究主任。気象学,地球物理学,生物学など多くの分野で活躍したが,特に気候学の業績は有名で,近代気候学の父と呼ばれている。ドイツにおける最初の印刷天気図の作成,観測法の確立,観測網の整備などに貢献。世界の植物分布を考慮したケッペンの気候区分はよく知られている。また古気候学研究は女婿のアルフレート・ロタール・ウェゲナーとの共著地質時代の気候』Die Klimate der geologischen Vorzeit(1924)にまとめられ,不朽の古典として知られるとともに,ウェゲナーの大陸移動説形成に重大な影響を与えたといわれる。種々の社会改革事業にも参加し,広範囲の活動を展開。主著『気候学概説』Grundriss der Klimakunde(1931)。

ケッペン
Koeppen, Wolfgang

[生]1906.6.23. グライフスワルト
[没]1996.3.15. ミュンヘン
ドイツの社会派作家。俳優やジャーナリストを経てオランダでシナリオを書く。巧みなモンタージュ的手法と繊細な文章が特徴。小説『不幸な愛』 Eine unglückliche Liebe (1934) ,『草のなかの鳩』 Tauben im Gras (51) ,『温室』 Das Treibhaus (53) ,『ローマに死す』 Der Tod in Rom (54) のほか,現代の模範的な散文といわれる旅行記『ロシアとほかの国々へ』 Nach Rußland und anderswohin (58) など。

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百科事典マイペディア 「ケッペン」の意味・わかりやすい解説

ケッペン

ドイツの気候学者。ペテルブルグ生れ。ペテルブルグ大学,ハイデルベルク大学,ライプチヒ大学で学び,ペテルブルグ観測所で天気図の作製などに従い,1875年ハンブルクの海洋気象台に移る。世界各地の気候・気象,地質時代の気候,気象と気候の領界域など多くの研究に努め,有名なケッペンの気候区分を発表した。
→関連項目自然地理学

ケッペン

ドイツの作家。第2次大戦後の占領下の植民地的風俗をモンタージュの手法でとらえた小説《草の中の鳩》(1951年)や,旧西ドイツの政治を風刺した《温室》などで知られる。

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世界大百科事典 第2版 「ケッペン」の意味・わかりやすい解説

ケッペン【Wladimir Peter Köppen】

1846‐1940
ドイツの気候学者。ケッペンの気候分類で知られる。ロシアのペテルブルグでロシア帝国の貴族の家系に生まれた。祖父は皇帝の侍医,父は歴史家であった。青年時代クリミアで過ごし,のちペテルブルグ,ハイデルベルク,ライプチヒの各大学で学び,卒業後はペテルブルグ観測所につとめた。1873年の第1回国際気象会議に出席し,ノイマイヤーG.V.Neumayerと知り会い,彼の世話で75年ハンブルク海洋気象台が創設されたときに入り,1918年までつとめた。

ケッペン【Wolfgang Koeppen】

1906‐96
ドイツの作家。俳優,劇作家,シナリオ作家,雑誌編集者などの職を経たのち,1930年代に二,三の作品を書いたが不評で,以後約10年間沈黙を守った。戦後50年代にはいって《草の中の鳩》(1951)を発表して一躍文名を挙げ,ついで《温室》(1953),《ローマに死す》(1954)など戦後の西ドイツの復興過程の歪みや,その社会の暗部に亡霊のように生き続けるナチスの残党などを描いた社会批判的色彩の濃い長編小説を次々に著して好評を得た。

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世界大百科事典内のケッペンの言及

【気候】より

…世界の気候区分は,多くの気候学者によって試みられているが,その方法は気候の成因に基づくものと,植生分布のように気候を端的に反映するものを指標にとって,それに合うよう経験的に分類する方法とがある。有名なW.P.ケッペンの気候区分は自然植生分布に対応した後者の立場に立つ代表的なものである。 気候は地形などとともに自然環境を構成する主要な要素の一つで,人間生活と深いかかわりをもっている。…

【気候型】より

…気候型を決定するには二つの立場がある。その第1は世界をいくつかの気候に分類したもので,例えばW.P.ケッペンは11個の主要気候型に分けている。まず植生的見地から世界の気候を樹木気候と無樹木気候に大別し,前者をさらに気温の高い方から順にA,C,D気候に,後者はその原因が乾燥によるものをB,高緯度の低温によるものをET,高山の低温によるものをEF気候とした。…

【気候区分】より

…ただし,このような分類では,熱帯の面積が40%,温帯が52%となり,寒帯は残りのわずか8%ということになり,緯度による気候分類は不合理とされた。 これまでに試みられた経験的気候区分のうちで,現在でも広く実用化されているのはW.P.ケッペンとソーンスウェートC.W.Thornthwaiteによる方法である。ともに植生を基礎にしたものであるが,植生による気候区分が広く認められるには二つの理由が考えられる。…

【気候順応】より

…人間が原住地の気候と異なる新しい土地に移り住んだとき,最初は異なる気候環境に順応できず,身体の生理機能に異常を生ずる場合が多いが,そのうちにその土地の気候環境に順応してゆくことを気候順応といい,気候馴化,気候順化,風土馴化などとも呼ぶ。新しい気候環境の地に移り住むと人間の生理機能に変化をきたし,それが安定し十分順応するには長い年月を必要とする。しかし,気候への順応能力には人種差ばかりでなく,個体間にも差異がある。…

【湿潤気候】より

…広義には,W.P.ケッペンの気候区分のB(乾燥気候)以外のほぼすべての気候(A,C,D)に対して湿潤気候という。ただし,E(寒帯気候)とF(高山気候)の一部は無樹木地帯ということで,湿潤気候からは除外される。…

【湿潤帯】より

…乾燥帯に対する言葉で,両者の限界を乾燥限界という。W.P.ケッペンは樹木の生長に十分な雨量をもつ気候を湿潤気候,雨量が不足し,樹木が生長しえない気候を乾燥気候とよび,両者の境界を乾燥限界と定義し,年降水量と年平均気温の比較から算出した。また,降水量と蒸発量の比較から求める方法もある。…

【植生】より

… 植物は土壌から水を利用するので,植物の分布に関係する乾湿度は土壌の水分状態に反映され,降水量と土壌からの蒸発量によって支配されている。蒸発量は大きくは温度によって決まるので,年降水量と年平均気温との関係で乾湿度指数は表され,有名な一つにケッペンW.P.Köppenの指数(K)がある。この指数は,季節の気温の違いによる雨の効率の変化を考慮して,年降水量(Pmm)と年平均気温(T℃)の関係を,冬雨型ではKP/2T,夏雨型ではKP/2(T+14),通年多雨型ではKP/2(T+7)として求めたものである。…

【シンパー】より

…ほかに,《アメリカの寄生植物》(1883),《熱帯アメリカにおける植物とアリの相互関係》(1888),《インド,マレーシアの海浜植物》(1891)などの著書がある。また,シンパーとほぼ同時代のドイツで,区系的な植物地理学や植物分類学を発展させた学者にエングラーH.G.A.Engler(1844‐1930)が,気候区分を体系化した学者にW.P.ケッペンがいる。【堀田 満】。…

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