改訂新版 世界大百科事典 「ケーリー」の意味・わかりやすい解説
ケーリー
Arthur Caylay
生没年:1821-95
イギリスの数学者。貿易商の家に生まれ,8歳までロシアで過ごした。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに学び,1842年に数学の学位試験を首席で合格,その後3年間は同カレッジの助手として数学の研究に専念したが,その後,法律を学んで49年には弁護士となった。この仕事を63年のケンブリッジ大学教授就任まで続けたが,この間も数学の研究を行った。彼は生涯に約1000編の論文を書いたが,約300編はこの期間中になされたものである。業績は代数的不変式論,行列の理論,射影幾何学,n次元の幾何学などにわたり,これらの理論の体系化に大きな貢献をした。なかでも行列(マトリックス)の理論は彼の独創であり,ユークリッド幾何も非ユークリッド幾何も射影幾何の特別の場合として説明できることを示したのも彼が初めてである。なお,群の抽象的な扱いも彼が先鞭をつけたものであり(1854),また有名な四色問題も彼がその困難さをロンドン地理学会で指摘した(1879)のが発端である。
執筆者:中岡 稔
ケーリー
George Cayley
生没年:1773-1857
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報