改訂新版 世界大百科事典 「ゲンゲ」の意味・わかりやすい解説
ゲンゲ
スズキ目ゲンゲ科Zoarcidaeに属する海産魚の総称。日本近海からは38種が知られている。いずれも寒海性で,日本では大部分が日本海沿岸各地,東北・北海道の沿岸に分布している。しかし,熊野灘の深海から発見されたアベゲンゲDavidijordania abei(全長約17cm)のように,一部のものは本州中部の深海域まで分布している。体型は細長く,側扁している。細長い体に沿って長い背びれとしりびれがあり,小さな尾びれに連なっており,すべてのひれに棘(きよく)がない。鰓孔(えらあな)は頭の側面に開口している。腹びれは小さく,多くが糸状である。うろこは小さい円鱗で皮下に埋もれている。ゲンゲ類は肉が水っぽく,カンテン,またはゼラチン質の部分が多いためあまり利用されない。とくにノロゲンゲ(全長約30cm)などは底引網で大量に漁獲され,始末に困ることもある。しかし,ナガガジ(全長約30cm),クロゲンゲ(全長約30cm),タナカゲンゲ(全長約90cm),カンテンゲンゲ(全長約60cm)などは練製品の原料とされる。サラサガジ(全長約75cm)は鮮魚で利用されることもある。
執筆者:望月 賢二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報