知恵蔵 「コウナゴ」の解説
コウナゴ
1歳で成熟し、12月から1月に海底の砂で産卵する。3月下旬頃には3~4センチに成長し、漁獲されるようになる。水温が高い夏の間は、砂に潜って休眠する。動物プランクトンを食べて群れて生息し、最大25センチ程度まで成長する。仔稚魚は煮干しや佃煮(つくだに)に加工され、兵庫県明石周辺の郷土料理「くぎ煮」が有名。一方、成魚はあまり食用とされず、養殖魚の餌として利用されることが多い。
2011年東日本大震災による福島第一原発の事故後の同年4月4日、茨城県北茨城市沖で取ったコウナゴから1キロ当たり4080ベクレルという高濃度の放射性ヨウ素が検出された。その後も、茨城・福島県沖のコウナゴから暫定基準値を超える放射性物質が検出され、当期の漁が操業終了に追い込まれた地域もあった。コウナゴ以外の魚からは放射性物質は検出されず、コウナゴは海面近くを泳ぐことなどから影響を受けやすかったためと見られている。
(原田英美 ライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報