コケモモ(読み)こけもも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コケモモ」の意味・わかりやすい解説

コケモモ
こけもも / 苔桃
[学] Vaccinium vitis-idaea L.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑小低木。高さ10~20センチメートルで、茎の下部は地をはう。葉は革質でつやがあり、長楕円(ちょうだえん)形、長さ1~2センチメートル、裏面淡緑色で小さい黒点がある。6~7月、枝先の短い総状花序に筒状壺(つぼ)形の淡紅白色花をつける。花冠は長さ6ミリメートルで先は四つに中裂し、雄しべは8本。果実球形、径約7ミリメートルで、9~10月に赤く熟す。酸味はあるが甘く、食用にする。北海道から九州亜高山帯から高山帯の岩石地やハイマツの下に生え、北半球の寒帯に広く分布する。名は、果実をモモに見立て、全体が小さいのでつけられた。果実で果実酒シロップ、ジャムなどをつくる。葉は配糖体のアルブチン、メチルアルブチンやタンニンなどを含み、薬用としてウワウルシ葉(ウワウルシはツツジ科の常緑小低木、クマコケモモともいう)の代用にする。

小林義雄 2021年4月16日]


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百科事典マイペディア 「コケモモ」の意味・わかりやすい解説

コケモモ

北海道〜九州の高山帯にはえ,北半球の寒帯にも広く分布するツツジ科の常緑小低木。高さ10〜20cm,茎の基部は地中をはう。葉は倒卵形で上面にはつやがあり,縁は少し下面に巻く。夏,白〜淡紅色の鐘形の花を開き,液果は球形で径5〜7mm,赤熟する。葉は利尿剤とし,果実は生食塩漬,果実酒にもする。

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