ソ連の数学者。モスクワ近くのタンボフ生まれ。1925年モスクワ大学を卒業、1931年からモスクワ大学教授となった。1939年にはソビエト科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)会員に選ばれ、その後、スターリン賞を受賞、また社会主義労働英雄となり、1967年にはアメリカ科学アカデミー会員、続いてパリ科学アカデミー外国人会員に選ばれている。
幼時に母を失い、おばの手で育てられ、大学へ入る前、列車の車掌も務めたが、このときニュートン力学の勉強をした。大学入学時には、ロシア史の研究もしていたが、このとき数値計算の問題にぶつかり、数学に関心をもつようになった。そしてステパーノフV. V. Stepanov(1889―1950)の三角級数のセミナーに出席し、これを機会に研究の中心は数学へと傾いていった。1922年には、ほとんど至る所で発散するフーリエ級数の例を構成した。大学を出てから確率論に興味をもちだし、1929年には確率概念の公理化に成功した。この成果は彼のドイツ語の著作『確率計算の基本概念』Grundbegriffe der Wahrscheinlichkeitsrechnung(1933)で発表された。これは、確率論の基礎を確立したもっとも重要な仕事である。その後も確率論をはじめ数学の多くの分野、たとえば集合論におけるコルモゴロフ演算子、エルゴード問題、一般化された空間における代数的位相幾何学の構成、ヒルベルトの問題の解決などに貢献した。
[井関清志]
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… エルゴード的であれば,運動はできるだけ乱れたものに落ち着くはずであり,惑星運動に見られる秩序は疑問を提示する。このようなことからエルゴード性は容易に破れるのではないかと考え,コルモゴロフ=アーノルド=モザーの定理(KAMの定理)を引合いに出す人々もいる。相互作用のある非調和振動子の集りがあり,縮退がないとすると,相互作用が弱い限り,この系は完全積分系であって,その運動は相互作用のないときの運動に近い。…
… より進んだ確率論を展開するには,同じ考え方ではあるがもっと一般的な定義に拡張しておく必要がある。そのようなものとして,1933年にソ連のA.N.コルモゴロフによって提唱された公理系がある。根元事象をωとかき,それらの全体をΩとする。…
… 今世紀になって,集合論をはじめとする近代数学を駆使することによって,その基礎が厳密な論理のうえに打ち立てられ,取り扱いうる内容を飛躍的に豊かにした。ソ連のA.N.コルモゴロフは,1933年その著書《確率論の基礎概念》で確率論の出発点となる確率空間の概念を導入し,近代確率論の発生に大きく貢献した。その空間は根元事象ωの集りであるΩ,その部分集合である事象を集めた族B,事象Aの確率P(A),A∈Bからなる。…
…ベルヌーイ型の大数の弱法則とコルモゴロフの大数の強法則とがある。 X1,X2,……,Xnを独立で,平均値がmで標準偏差がσである同じ分布に従う確率変数とする。…
※「コルモゴロフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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固定翼機でありながら、垂直に離着陸できるアメリカ軍の主力輸送機V-22の愛称。主翼両端についたローターとエンジン部を、水平方向から垂直方向に動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング機能...
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