ゴマ

デジタル大辞泉 「ゴマ」の意味・読み・例文・類語

ゴマ(Goma)

コンゴ民主共和国東部の都市ルワンダとの国境に位置し、キブ湖北岸に面する。北約20キロメートルにニーラゴンゴ山があり、2002年の噴火の際には溶岩流市街に及んだ。ルワンダ内戦の際、多く難民が流入した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴマ」の意味・わかりやすい解説

ゴマ
ごま / 胡麻
[学] Sesamum indicum L.

ゴマ科(APG分類:ゴマ科)の一年草。油料作物として栽培される。茎は四角形で、高さ1メートル前後。葉は長さ約10センチメートル、長楕円(ちょうだえん)形ないし披針(ひしん)形であるが、茎の下位の葉は広楕円形で3裂するものもある。茎葉は軟毛に覆われている。夏季、茎の上部の葉腋(ようえき)に鐘状の花をつける。花は長さ2.5センチメートルほどで淡紫色、花冠の先は不等に5裂し、下唇3裂片は上唇2裂片よりやや長い。雄しべは4本で、そのうちの2本が長い。果実は蒴果(さくか)で、長さ2.5センチメートルほどの短円筒形、普通は4室に分かれ、熟すと裂開して多数の種子がこぼれる。

 栽培ゴマの起源アフリカといわれる。紀元前1300年ころにはギリシアですでに栽培されていた。中国には紀元100年ころ西域(せいいき)民族(胡(こ))を経て伝えられ、その後日本へ入った。ゴマの名は、胡から伝来したもので、種実がアサ(麻)に似ている植物という意味らしい。世界で約553万トンの生産があり(2017)、そのうち、およそ60%はアフリカ諸国、40%はアジア諸国でとれている。日本では農家の自家用に栽培する程度であるが、年々需要が増加し、ゴマ種子を年間15万トン(採油用)も輸入している。

 栽培にはやや高温を要し、霜に弱いので5月に播種(はしゅ)する。莢(さや)は熟すと自然に裂けて種子がこぼれ落ちてしまうので、9月末、茎の下部の莢が成熟したころ早めに刈り取って乾燥し、たたいて種子をとる。

[星川清親 2021年8月20日]

利用

ゴマ(種子)100グラム中に、タンパク質19.8グラム、炭水化物18.4グラム、脂質51.9グラムが含まれ、油料作物中もっとも含油率が高い。またビタミンEを含むなど栄養的にも優れている。ゴマはかき混ぜながら焙烙(ほうろく)で炒(い)るが、昔から「三粒はねたらよい」といわれる。刻むと特有の香味がいっそう増すので、お茶漬け、汁物、和(あ)え物、ひたし物などに散らすには切りごまにして用いる。ごまみそ、ごまじょうゆ、ごま酢などに仕立てるには、炒りごまを熱いうちにすり鉢で油がにじみ出るほどにすって用いる。そのほか、胡麻豆腐などにも加工され、香りと歯ざわりを生かして菓子材料にも使われる。種子を炒って粉砕し、蒸して圧搾しごま油を絞る。ごま油は風味佳良で、そのままでも食用としてとくに精製する必要がないほどであるが、精製すればごま白絞(しらしめ)油が得られる。これはオレイン酸50%、リノール酸40%からなる半乾性油であり、てんぷら油として最上等とされる。

 食用のほか、油は医薬、工業用にも重要である。昔は灯用にも使用された。油を搾ったかすは、家畜の飼料にされる。

[星川清親 2021年8月20日]

文化史

人類が最初に栽培した油料作物の一つで、原産地はアフリカのサバナ地帯とする見方が有力である。現在でも、別種のアラーツムS. alatum Thonn.やアングスティフォリウムS. angustifolium Engl.などがアフリカの先住民によって食用油にされ、葉も野菜として利用されている。日本でも、ゴマの葉は江戸時代に食用にされた(『菜譜』)。ごま油は奈良・平安時代には重要な灯油で、『大宝律令(たいほうりつりょう)』(701)では成人男子1人当り7勺(しゃく)(約0.126リットル)のごま油の貢献が義務づけられている。また、インド古代の医書『チャラカ本集』(前1~後2世紀の間に成立)には、発疹(ほっしん)や便秘の薬としてごま油があがる。

[湯浅浩史 2021年8月20日]


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食の医学館 「ゴマ」の解説

ゴマ

《栄養と働き》


 ゴマの原産地はインド、エジプトといわれています。わが国へは奈良時代に仏教とともに伝えられ、禅僧の精進料理として、とうふとともに利用されていたといいます。平安時代にはゴマから油を絞っていたという記録があります。現在は、中国、インドが主産地になっています。
 ゴマには白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマなどがあります。白ゴマは脂肪が多いため、おもに油の原料として使われています。食用に用いられるのはおもに黒ゴマで、薬効も高いといわれています。金ゴマは3種のなかでも香気が高く、懐石料理などに用いられています。
〈抗酸化成分のゴマリグナンが活性酸素を除去〉
○栄養成分としての働き
 ゴマには多くの有効成分が含まれています。なかでも特有の成分がゴマリグナン。これは、ゴマの抗酸化成分の総称で、その種類にはセサミン、セサモール、セサミノール、セサモリノール、セサモリン、ピノレジノール配糖体などがあります。これらは、ゴマを炒(い)ったりすったりすることによって化学変化を起こし、いろいろな成分になります。
 ゴマリグナンの50~60%を占めるセサミンは、ゴマの繊維質が分解されてできるリグナン類の一種。胃腸で分解されずに、肝臓とつながっている「門脈(もんみゃく)」で吸収されるため、肝臓に直接作用するのです。体内でも活性酸素の発生率が高いとされる肝臓で、活性酸素を除去する働きをするので、肝機能の強化に有効です。また、善玉コレステロールをふやし、悪玉コレステロールを低下させる作用もあり、動脈硬化予防に効果があります。
 抗酸化作用のあるビタミンEも豊富。セサミンとともに働いて、より強力に活性酸素を取り除きます。
 赤血球の材料である鉄分も豊富に含んでいます。このため、鉄欠乏性貧血を改善します。貧血が改善されれば血液の循環もよくなり、その結果、冷え症の改善にもつながります。
 骨の形成に欠かせないカルシウムとマグネシウムも多く含んでいますから、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防にも最適です。
 大さじ1杯のすりゴマ(15g)をとれば、180mgものカルシウムをとることができます。
 牛乳コップ1杯に含まれるカルシウムは220mgですから、ゴマがいかに多くのカルシウムを含んでいるかがわかります。
 加えて不溶性食物繊維が多く、便秘(べんぴ)解消にも効果を発揮します。カルシウムはイライラなど神経の高ぶりを鎮める働きもあります。
 ビタミン類ではB1が豊富です。糖質の代謝を活発にし、疲労回復をはじめ消化不良、食欲不振などに役立ちます。
〈すぐれたゴマたんぱく質が肝臓や胃腸を丈夫にする〉
 ゴマの魅力は、なんといっても高品質のたんぱく質を多く含むという点でしょう。なかでも必須アミノ酸のメチオニンが含まれているのが特徴の1つ。これは、肝機能を正常に保つために働く成分です。
 そして、主成分である脂肪分にも多くの効能が秘められています。ゴマの脂肪分は、リノール酸を約45%、オレイン酸を約40%含んでいて、血中のコレステロールや中性脂肪の上昇を抑制する作用があり、血中脂質をコントロールして動脈硬化の予防に有効に働きます。
 不飽和脂肪酸はすぐに酸化されて体に有害な過酸化脂質にかわってしまうのが難点。しかし、ゴマにはこの酸化作用を防ぐゴマリグナン類とビタミンEが含まれているので、安心して食べられます。
 黒ゴマはアントシアニン、金(黄)ゴマはフラボノイドを含み、ともに抗酸化作用があります。
〈美肌を保ち、抜け毛を予防する働きも〉
 ミネラル分やビタミンEが豊富なこともあり、肌をなめらかにし、若さを保つ働きもあります。頭髪の健康を保つ作用もあり、抜け毛予防や白髪(しらが)になるのを遅らせてくれます。
○漢方的な働き
 ゴマは中国では古くから滋養強壮食品として知られています。漢方ではおもに黒ゴマが用いられ、高齢者や虚弱体質の人、疲れやすい人、冷え症、乾燥肌、便秘などの改善に使われています。
 黒ゴマには補血、補腎(ほじん)の作用もあります。補血は、血液をふやして全身の機能を高める作用、補腎は肉体の老化を防いで生命力を高める作用をいいます。黒ゴマを常食していると、物忘れが減り、筋肉や骨が丈夫になります。

《調理のポイント》


 ゴマは粒が揃(そろ)っていて実がかたく締まっているものを選びましょう。
 ゴマは外皮がかたく、そのままでは消化吸収されにくいので、炒(い)ってさらに、するのがいちばんです。ゴマリグナンは炒ることによって抗酸化力が増すので、有効成分を十分に活かすためにも、炒ってからすりつぶして使うことをおすすめします。
 することによって抗酸化力がアップするので、未開封のすりゴマの賞味期限が6か月なのに対し、練りゴマの賞味期限は約1年です。さらにゴマ油は1年半~2年と長持ちします。
 ただし、炒りすぎるとにがみがでてまずくなるので、フライパンで香ばしさが少しでる程度にします。
 使い方としては、和え衣にしたり、ふりかけやドレッシングに混ぜたりするといいでしょう。ポピュラーなメニューとしてホウレンソウのゴマ和えがありますが、これは鉄分が豊富で貧血予防に非常に役立つ食べ方です。
 また、セサミンという成分にはアルコールの分解を促進する作用があるので、酒の肴(さかな)にゴマ和えを食べると二日酔いを防ぐことができます。

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栄養・生化学辞典 「ゴマ」の解説

ゴマ

 [Sesamum indicum].ゴマノハグサ目ゴマ科ゴマ属の一年草.種子そのものや種子の油を食用にする.

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