改訂新版 世界大百科事典 「サイクス=ピコ協定」の意味・わかりやすい解説
サイクス=ピコ協定 (サイクスピコきょうてい)
Sykes-Picot Agreement
第1次世界大戦中の1916年5月,イギリス,フランス,ロシア3国が,オスマン帝国領土のうち,シリア,キリキア,メソポタミアにおける3国の将来の勢力範囲画定を取り決めた秘密協定である。フランス代表のピコGeorges Picotとイギリス代表のサイクスMark Sykesとが原案をつくり,この協定によって,イギリス,フランス両国は,フランスが領有を主張し,イギリスがフサイン=マクマホン書簡によって1915年10月にアラブに対して事実上公約した独立アラブ王国の領域に入るシリアの処理を調整した。そしてパレスティナの統治形態は,3国およびメッカのシャリーフの間での将来の協議にまかされることとなった。この秘密協定は,17年11月,ロシアのボリシェビキ政権によって暴露された。
→バルフォア宣言
執筆者:前田 慶穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報