サイクロン(英語表記)cyclone

翻訳|cyclone

デジタル大辞泉 「サイクロン」の意味・読み・例文・類語

サイクロン(cyclone)

インド洋方面に発生する、強い熱帯低気圧。性質は台風と同様。
流体を旋回させ、遠心力重力を利用して、流体中の固体微粒子を分離する装置。鉱物粒子と水との分離や、空気中の粉塵ふんじん粒子の分離に使われる。
[類語]雨風波風風浪風雪風雨無風微風そよ風軟風強風突風烈風疾風はやて大風颶風暴風爆風ストーム台風ハリケーン神風砂嵐つむじ風旋風竜巻トルネード追い風順風向かい風逆風横風朝風夕風夜風春一番春風しゅんぷう春風はるかぜ花嵐薫風風薫る緑風やませ涼風すずかぜ涼風りょうふう秋風野分き木枯らし空風寒風季節風モンスーン貿易風東風ひがしかぜ東風こち西風偏西風南風みなみかぜ南風はえ凱風北風朔風松風まつかぜ松風しょうふう山風山颪谷風川風浜風潮風海風陸風熱風温風冷風

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精選版 日本国語大辞典 「サイクロン」の意味・読み・例文・類語

サイクロン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] cyclone )
    1. (イ) 循環する風系を周囲にもつ低気圧をいう。
    2. (ロ) インド洋方面の熱帯低気圧。
  2. 円筒の内側へ接線方向に流体を送りこみ、うずまき状に旋回させ、流体中に浮遊する比重の異なる物質を遠心力で分離する装置。気体の集塵に用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「サイクロン」の意味・わかりやすい解説

サイクロン
cyclone

(1)遠心力を利用して粒子懸濁流体中から固体粒子を分離する装置で,乾式処理用と湿式処理用とがある。普通のサイクロンは円筒部と円錐部からなり,原料粒子(フィード)は空気,水などの流体に伴って円筒部に設けられた流入口から接線方向に流入する。円筒部に流入した流体は高速の旋回流となって円錐部へ流れ,その間に流体内に混入していた粗い粒子は遠心力によって円錐壁へ向かって分級され,円錐の先端部にある排出口(アンダーフローノズル,スピゴット)から分離・排出される。流体の大部分と微細粒子は旋回しながら遠心力に逆らって円錐の中心部へ押しやられ,円筒部の中心にある内筒(オーバーフローファインダー)から排出される。

 乾式のサイクロンは分級機よりはむしろ集塵(しゆうじん)機として使われることが多く,ふつうオーバーフローファインダーに連結された送風機により吸引される形で運転される。スピゴットからは気流から分離された粉体が回収される。円筒部直径20~60cmの乾式サイクロンでは数十μmまでの粒子を分離・捕集することができる。直径数cmの小型サイクロンは処理能力は小さいが,数μmまでの粒子を気流から分離し,捕捉することができる。

 湿式のサイクロンはハイドロサイクロンhydrocycloneと呼ばれ,選鉱工場などにおいて,分級はもとより,比重選別,固液分離などの目的でも広く使われている。ボールミルと組み合わせて粉砕回路での分級作業に使われるのはその一例である。分級粒度はふつう10~200μm程度であるが,円筒部内径1cm程度の小さなハイドロサイクロンでは,2~5μmくらいの分級も可能である。乾式・湿式の別を問わず,極小型のサイクロンは処理能力を高めるために多数のユニットを一体構造として製作されるものが多く,このような集積化されたサイクロンはマルチクロンmulticloneなどの名で呼ばれる。

 サイクロンは可動部がなく,ごく簡単な構造の装置であるが,流体の通過速度が高いため,寸法の割にはきわめて大きい処理能力をもつ特徴が買われ,鉱業,化学工業,食品工業などの諸分野で広く使われている。

(2)気象用語で,低気圧のことをいう。
台風
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイクロン」の意味・わかりやすい解説

サイクロン(集塵装置)
さいくろん
cyclone

集塵(しゅうじん)装置の代表的なもので、流体の旋回流によって生ずる遠心力を利用した粉塵の分離装置である。流体が気体の場合にサイクロンとよび、気体中に懸濁している固体粒子または微小液滴を分離する。流体が液体の場合にはハイドロサイクロンhydrocycloneまたは液体サイクロンとよび、液体中に懸濁している固体粒子の粒度や比重差による分離に用いられる。また、それぞれの用途によって、分級サイクロン(粒度による分離を行う)、サイクロン集塵機などとよぶ。気体サイクロンと液体サイクロンでは、装置各部の寸法にかなりの差異があるが基本構造は変わらない。

[早川豊彦]

分離の機構

円筒部と円錐(えんすい)部からなり、含塵流体は円筒部の側壁から切線方向に供給され、円筒内壁に沿って旋回しながら下降して円錐部に入り、さらに旋回下降して底部に達してから中心部を反転上昇旋回して、上部の出口から排出される。この間、流体中に含まれる粉塵あるいは微小液滴は、遠心力が働いて旋回しながら半径方向に移動して円錐壁に集まり、流体から分離され円錐壁に沿って螺旋(らせん)状に下降し、底部の円錐部頂点から排出される。

 サイクロンは構造が簡単で、可動部もなく保守が容易である。数ミクロン程度の粉塵まで分離できるため広く用いられている。気体サイクロンにおける圧力損失は、水柱100~200ミリメートル、入口風速は毎秒15~20メートル程度である。液体サイクロンの圧力損失は約0.2~4.2気圧、入口風速は毎秒3~15メートル程度で、5~200マイクロメートルの粒子(比重2.5)が分離できるが、動力消費が大きく装置内壁が粒子の摩食を受けやすいなどの欠点がある。

 サイクロンは、形が相似形の場合は、小型のものほど粉塵の捕集効率が高いので、処理流量が大きいときは複数のサイクロンを並列にして用いるマルチクロンmulticloneが用いられる。また、切線方向に流体を吹き込む型のほか、軸方向から含塵流体を吹き込み、案内羽根の回転で旋回運動を与える軸流サイクロンもある。

[早川豊彦]



サイクロン(熱帯低気圧)
さいくろん
cyclone

インド洋に発生する発達した熱帯低気圧。性質は台風と同じである。世界気象機関(WMO)では、この地域の熱帯低気圧のうち最大風速が毎秒32.7メートル以上(風力12)のものをサイクロンとよぶが、日本の台風の基準と同じ最大風速が毎秒17.2メートル以上(風力8以上)のものをさすことも多い。年間発生数は北インド洋でおよそ2個、南インド洋でおよそ4個(台風なみに発達した熱帯低気圧はおのおの6個、10個)である。台風に比べると発生数も少なく規模も小さいことが多いが、ベンガル湾沿いの地方など人口の密集した低湿デルタ地帯では、サイクロンによる高潮や洪水で大災害が発生することが少なくない。また、一般の低気圧の総称として用いられることがある。

[饒村 曜]

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百科事典マイペディア 「サイクロン」の意味・わかりやすい解説

サイクロン(機械)【サイクロン】

流体の旋回流で生じる遠心力により粒子の沈降速度を増加させ,粒子を分離・捕集する装置。一般に円筒形(直径数十cm〜7m)および円錐形の容器からなり,円筒部の周壁に接線方向の流入口,円筒部の上面中央と円錐部の下端に流出口をもつ。取り扱う物質により気体サイクロンと液体サイクロンに分類。前者には,気体中に分散する固体粒子や液滴を分離・捕集するサイクロン集塵(しゅうじん)器,固体粒子をその粒径・比重などに従って分級するサイクロン空気分級機などがあり,直径10μm程度の粒子まで捕集可能。特に小さい粒子の場合には小型のものを並列に組み合わせたマルチクロンを使用する。後者には,液体中に分散する固体粒子を分離・捕集する清澄サイクロンのほか,濃縮サイクロン,分級サイクロン,選別サイクロンなどがある。いずれも構造・取扱いが簡単で,処理能力が大きく,鉱業,化学工業,食品工業などで広く使用されている。
→関連項目集塵装置

サイクロン(気象)【サイクロン】

インド洋に発生する強い熱帯低気圧。性質は台風と同じ。なお,一般の低気圧の総称としてサイクロンを用いることがある。
→関連項目熱帯低気圧

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイクロン」の意味・わかりやすい解説

サイクロン
cyclone

インド洋に発生する熱帯低気圧。よく高潮を引き起こし,バングラデシュなどの低湿デルタ地帯で大きな災害をもたらす。年間発生数は約 10個で,6~11月に発生する。北インド洋(ベンガル湾およびアラビア海)では,その域内の最大風速が 34kn(約 17m/s)以上の熱帯低気圧に Cyclonic Storm,南西インド洋では,その域内の最大風速が 64kn(約 33m/s)以上の熱帯低気圧に Tropical Cyclone,南東インド洋,南太平洋では,その域内の最大風速が 34kn(約 17m/s)以上の熱帯低気圧に Tropical Cycloneという語を用いる。これらの海域で発生し,発達した熱帯低気圧をサイクロンと呼ぶ。

サイクロン
cyclone

遠心力を利用した集塵装置の代表的なものの一つ。微粒子を含んだ流体が円筒状の装置に接線方向に高速で吹込まれると,流体は筒壁に沿って旋回しながら下降する。この旋回流により流体中に含まれる粒子に遠心力が働き,粒子は壁方向に分離され,下方から取出され,流体は中心上部より出ていく。多くの場合流体は気体であるが,流体が液体のものもあり,それを特に液体サイクロンと呼ぶ。

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化学辞典 第2版 「サイクロン」の解説

サイクロン
サイクロン
cyclone

気体中に含まれる固体微粒子を遠心力によって分離捕集する装置.気体に回転運動を与え,それとともに回転する微粒子の遠心力を利用して分離する装置で,重力の数百倍に及ぶ遠心力がはたらき分離作用をするため,重力沈降に比べて小さな設備で高性能が得られる.接線形と軸流形とがあり,粒子の密度にもよるが,直径10 μm またはそれ以下の粒子の捕そくも可能である.一般に,微細粒子の捕そくにはサイクロンの直径を小さくすればよいが,処理量が減少する.このため,サイクロンを数個並列にしたものや,多段直列型が用いられる.気体中に分散した液滴の捕集や,液体中の固体粒子の分離捕集を行う液体サイクロンもある.

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デジタル大辞泉プラス 「サイクロン」の解説

サイクロン

アメリカのゼネラルモーターズがGMCのブランドで1991年から1992年まで製造、販売していた乗用車。2ドアのピックアップトラック。

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世界大百科事典(旧版)内のサイクロンの言及

【ウィリー・ウィリー】より

…オーストラリアの内陸部での強い日射で生じる塵旋風(じんせんぷう)dust devil。【近藤 洋輝】…

【低気圧】より

…低気圧の単純な定義は気圧分布にもとづくもので,周囲に比べて最も気圧の低いところを中心にして,ほぼ楕円形の等圧線でかこまれた領域をさしている。発達した低気圧ほど,この楕円形の等圧線の数が多い。低気圧は一般的にはあらしの現象をさすもので,人々はあらしの際の風向きの変化,雲や雨の現れ方,気温の変化,気圧の大きな低下などを知った。こうした要素的な事柄は天気図によって総合され,特徴的な三次元構造をもつ数千kmにおよぶ一つの組織として低気圧の概念ができている。…

【集塵】より

…ボイラー排ガスなどでは,この洗浄方法で脱硫を行うと同時に集塵も行う。(5)もっと粗い粒子の捕集には,単に沈降室で重力によって粒子を沈降分離する方法,あるいは気流に旋回流を与えて粉塵を遠心作用によって分離するサイクロンなどが用いられる。これらは当然捕集効率は低いが,高温その他広い条件での使用が可能である点に特徴がある。…

※「サイクロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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