日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイレン(動物)」の意味・わかりやすい解説
サイレン(動物)
さいれん
siren
[学] Siren lacertina
両生綱有尾目サイレン科の動物。アメリカ合衆国南東部に分布する。体は細長く、灰色または暗緑色でウナギに似る。しばしば多数の円形黒斑(こくはん)があり、幼体は体側に淡色の縦条をもつことが多い。前肢は小さく、後肢はない。目は小さく、頸部(けいぶ)に羽毛状の3対のえらがある。全長60センチメートル前後でまれに90センチメートルに達する。池、溝、水田、流水にすみ、ザリガニなどを捕食する。池が干上がると、体表から粘液を分泌し、それが硬化して休眠中の体を包む被膜となる。卵生で、大形の卵を1個ずつ水草に産む。
サイレン科には本種のほかコガタサイレンS. intermedia、チビサイレンPseudobranchus striatusが含まれ、すべてアメリカ合衆国産である。
[倉本 満]