サウアー(読み)さうあー(英語表記)Carl Ortwin Sauer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サウアー」の意味・わかりやすい解説

サウアー
さうあー
Carl Ortwin Sauer
(1889―1975)

ドイツ系のアメリカ地理学者ベルリン大学に留学し、1915年シカゴ大学より学位が授与され、23年にはカリフォルニア大学バークリー校の教授となり、歴史地理学文化人類学生態学分野を取り入れ、新しい人文地理学を開拓した。また、とくにラテンアメリカ関心を有し、数多くのアメリカ・インディアンに関する研究を発表している。40年にはアメリカ地理学会Association of American Geographersの会長となり、56年には名誉会長、また57年にはカリフォルニア大学の名誉教授となる。60年アメリカ地理学会で講演した農業起源伝播(でんぱ)に関する研究は邦訳され、わが国にも紹介されている。

織田武雄

『サウアー著、竹内常行・斎藤晃吉訳『農業の起源』(1981・古今書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サウアー」の意味・わかりやすい解説

サウアー
Sauer, Carl Ortwin

[生]1889.12.24.
[没]1975.7.18
アメリカ合衆国の人文地理学者。 1923年以後カリフォルニア大学教授として多年にわたって地理学教室を主宰,多くの地理学徒を育成。特に文化地理学景観地理学の発展に貢献した。第1次世界大戦後,経済地図の作成に新機軸を生み出すとともに,ドイツの景観地理学の考え方を取入れ,また人類学者クローバーなどとの接触を通じて文化景観の地域的特質の究明と,その要因について追求した。主著に『景観の形態学』 Morphology of landscape (1925) がある。

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世界大百科事典 第2版 「サウアー」の意味・わかりやすい解説

サウアー【Carl Ortwin Sauer】

1889‐1975
アメリカの地理学者。少年時代はドイツで教育を受け,シカゴ大学で地理学を研究し,再びドイツに留学。帰国して1923年からカリフォルニア大学(バークリー校)教授となった。それまでアメリカの地理学界をリードしていたシカゴ大学の都市地理学派やクラーク大学の経済地理学派中心の活動に対して,文化地理を中心とした環境論的な傾向をカリフォルニア大学の地理学の特色とし,地理学界に重きをなすまでに高めたことで知られる。

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世界大百科事典内のサウアーの言及

【栽培植物】より

…ここで重要なことは,これらの栽培植物の地理的中心地域が大河の流域ではなくて山岳・高原地帯が多く,それらが互いに高い山脈や砂漠によって隔離されており,おのおのが独立に発達した中心であることを示していることである。 その後,1952年サウアーC.O.Sauerは《農耕の起源と伝播Agricultural Origins and Dispersals》という著書の中で,栄養生殖様式をもつタロイモ(サトイモ類),ヤマノイモ類,バナナなどの栽培植物が起源した東南アジア島嶼部に,漁労を伴ったもっとも古い農耕が起源したと主張した。また59年G.P.マードックは,《アフリカ――人びととその文化史Africa,its Peoples and their Cultural History》という本の中で,西アフリカのニジェール川流域に,アフリカイネや数種の雑穀,ササゲなどの栽培化を伴った独自の重要な栽培植物起源地域の存在することを,初めて強調した。…

【栽培植物】より

…ここで重要なことは,これらの栽培植物の地理的中心地域が大河の流域ではなくて山岳・高原地帯が多く,それらが互いに高い山脈や砂漠によって隔離されており,おのおのが独立に発達した中心であることを示していることである。 その後,1952年サウアーC.O.Sauerは《農耕の起源と伝播Agricultural Origins and Dispersals》という著書の中で,栄養生殖様式をもつタロイモ(サトイモ類),ヤマノイモ類,バナナなどの栽培植物が起源した東南アジア島嶼部に,漁労を伴ったもっとも古い農耕が起源したと主張した。また59年G.P.マードックは,《アフリカ――人びととその文化史Africa,its Peoples and their Cultural History》という本の中で,西アフリカのニジェール川流域に,アフリカイネや数種の雑穀,ササゲなどの栽培化を伴った独自の重要な栽培植物起源地域の存在することを,初めて強調した。…

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