精選版 日本国語大辞典 「サタン」の意味・読み・例文・類語
サタン
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『旧約聖書』では、もと「敵対する者」を表す普通名詞であったが、のち超自然的存在として神に敵対する者、すなわち悪魔を表す固有名詞となった。「ヨブ記」におけるサタンは、人の罪を神に訴え、人とさらに間接的には神に敵対する霊的存在である。「創世記」3章では、サタンは蛇として、エバを誘惑して神の命令に背かせる。『新約聖書』では、イエスを試み(「マタイ伝福音書(ふくいんしょ)」4章1~11)、ユダの心に入ってイエスを裏切らせ(「ルカ伝福音書」22章3)、パウロの伝道を妨害し(「テサロニケ書Ⅰ」2章18)、絶えず人を神から離反させようとする(「ペテロ書Ⅰ」5章8)。聖書では、サタンは神と二元的に対立するものではなく、神の制約下にあり、最後にはキリストに滅ぼされる存在として扱われている(「ヨハネ黙示録」20章1~10)。
[野口 誠]
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…【吉田 禎吾】
[キリスト教と悪魔]
西洋には例えば英語のdemon,devil,satanなど〈悪魔〉と訳される語は多い。そのうちサタンはヘブライ語に由来し,もとは〈敵対者〉の意味だが,キリスト教信仰の伝承過程で〈神の敵対者〉のなかの最高存在を指すようになった。旧約聖書ではなお,裁判所への告訴者,主の言説に対する反対者の性格が強いが,新約聖書では人類を誘惑して堕落させる悪しき霊の最高神格,あるいは〈この世の君(きみ)〉(《ヨハネによる福音書》12:31),〈死の権力(ちから)を有(も)つ者〉(《ヘブル人への手紙》2:14)と目されている。…
…天地創造は無にして全なる状態から大いなる顔が生まれることに始まる,とするカバラ思想は,セフィロトの木によって旧約聖書も解釈している。 サタンが三つの顔をもつことは中世を通じて民衆に信じられていた。一つは赤面でヨーロッパまたは憎悪を象徴し,一つは黄白色でアジアまたは無力を,一つは黒くアフリカまたは無知を表すとする。…
…魔女は通常コウモリに化身して家々を訪れるとされ,中世キリスト教美術ではコウモリの翼をもつ悪魔が盛んに描かれた。これはさらにダンテの《神曲》によって,コウモリの翼をもつ魔王サタンの姿に定着された。錬金術のシンボルとしてはカラスとともに黒(原質)を示し,両性具有の寓意にも用いられた。…
…大天使ミカエルの竜退治をはじめ,聖人に殺される竜はみな〈悪〉の象徴である。このため竜はサタンとも同一視された。《ヨハネの黙示録》には七つの頭,10の角,七つの王冠を持つ巨大な竜が出てくる。…
※「サタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...
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