サツマイモ(薩摩芋)(読み)サツマイモ(英語表記)Ipomoea batatas; sweet potato

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サツマイモ(薩摩芋)」の意味・わかりやすい解説

サツマイモ(薩摩芋)
サツマイモ
Ipomoea batatas; sweet potato

ヒルガオ科多年生のつる草。カンショ甘藷),カライモ(唐芋),リュウキュウイモ琉球芋)などともいい,塊根は重要な食糧となる。原産地はラテンアメリカと推定されている。日本には琉球から薩摩(鹿児島)に伝わり,18世紀半ばに青木昆陽が全国に広めた。今日おもに関東から西の各地で栽培されている。つるは長く地上をはい,葉は心臓形,先はとがり,縁は波状あるいは深く裂ける。夏の終わり頃,まれにアサガオに似た花を開くこともあるが,日本ではほとんど結実しない。根もとに近い葉のつけ根から出る根が太ってになる。芋の形は品種により球形紡錘形円筒形,不定形などがあり,また芋の色,味,食感もいろいろである。芋は多量のデンプンや糖類を含み,ふかし芋や焼芋にして食べるほか,芋せんべいその他の菓子の原料や焼酎などの原料にする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版 「サツマイモ(薩摩芋)」の意味・わかりやすい解説

サツマイモ【サツマイモ(薩摩芋) sweet potato】

カンショ(甘藷),リュウキュウイモ(琉球藷),カライモ(唐薯)ともいう。肥大した根を食用やデンプン原料とするために栽培されるヒルガオ科の多年草(イラスト)。
[形状]
 茎はつる性で地面をはい,緑・紫・褐色などで,よく枝分れする。ふつう1~6mに伸び,断面は丸く,直径3~10mm。葉は互生し,葉柄は長さ5~30cm,葉身は縦横10cm前後の心臓形だが,縁に切れ込みのある品種もある。茎葉を切ると白い乳液が出る。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のサツマイモ(薩摩芋)の言及

【いも(芋∥薯∥藷)】より


【主要ないも類とその栽培地域】
 多くの野生や栽培植物がいもとして食用に利用はされているが,そのなかで生産量が多く作物として重要なものは数種である。 サツマイモ(英名sweet potato)は,中央アメリカの熱帯原産のヒルガオ科植物で,根が肥大していもを形成する。コロンブスのアメリカ大陸発見以前は,中南米とオセアニアの一部で栽培されていたが,現在では広く熱帯圏のみならず,日本のような温帯圏の夏季作物として栽培されている。…

【いも(芋∥薯∥藷)】より

…その食用の利用も,掘りあげたいもを煮るか焼いて食用にするため,穀類に見られるような脱穀から精白や精粉,さらにそれら粉状や粒状のものを食物に調理する複雑な過程がなく,農耕具や調理体系で見ると農耕文化としては単純な段階にとどまっている。これら熱帯圏のいも農耕地帯では,新大陸熱帯起源のキャッサバ,ヤウテア,サツマイモが旧世界まで広く栽培されているし,東南アジア起源のダイジョは西アフリカで重要な栽培植物になっている。また,東南アジアや東アジア地域はサトイモやヤマノイモ類の起源地であるが,現在では稲作が中心となり,いも類は主食としての重要性がなくなっている。…

【農耕文化】より

…それらは二つの大類型に区分することができる。
[根栽農耕文化]
 新大陸では,南アメリカの熱帯低地で大きないものとれるキャッサバ(マニオク)と旧大陸のタロイモによく似たヤウテアが栽培化され,また中部アンデスの高地でジャガイモが,さらにメキシコでサツマイモが栽培化されるなど,すぐれたいも類が作物化されている。このうち南アメリカ東部の熱帯低地に展開した文化は,キャッサバを主作物とする焼畑農耕を生業の基礎とした典型的な根栽農耕文化である。…

【パプア人】より

…人々はすべて形あるものは精霊から授けられると信じ,また呪術が部族間,部族内を問わずはびこっていた。彼らは根茎類(ヤムイモ,タロイモ,サツマイモ,キャッサバなど)の栽培を生業とする自給農民であるが,主として女性が農耕に従事する。主食のサツマイモは約300~350年前にポルトガル人あるいはマレー人によって海岸地方にもたらされ内陸部に達したもので,これが高地の人口を増加させ,社会を変えたといわれる。…

【焼芋】より

…サツマイモを焼いたもの。サツマイモの食べ方として最も簡便,かつ美味な方法なので,日本でもサツマイモの渡来直後から行われていたはずである。…

※「サツマイモ(薩摩芋)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ダモクレスの剣

常に身に迫る一触即発の危険な状態をいう。シラクサの僭主ディオニュシオス1世の廷臣ダモクレスが王者の幸福をたたえたので,王がある宴席でダモクレスを王座につかせ,その頭上に毛髪1本で抜き身の剣をつるし,王...

ダモクレスの剣の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android