ザミーンダール(英語表記)〈ヒンディー〉Zamīndār

デジタル大辞泉 「ザミーンダール」の意味・読み・例文・類語

ザミーンダール(〈ヒンディー〉Zamīndār)

《もとペルシア語で土地保有者の意》ムガル帝国時代の北インドで行われた地租徴収請負人の称。一部地主領主が担当し、徴税仲介口実農民を搾取した。18世紀以降インドを支配した英国も、ベンガル地方を中心に、この請負制度を継承した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のザミーンダールの言及

【ザミーンダーリー制度】より

…〈永代ザミーンダーリー(地税)制度〉ともよばれる。〈ザミーンダールZamīndār〉とは,ペルシア語のザミーンzamīn(土地)とダールdār(所有者)の合成語で,土地保有者一般を意味したが,本来,イギリス支配以前に存在していたヒンドゥー領主層,村落の小地主層,またムガル時代に土着化していったムスリム(イスラム教徒)豪族層など多様な在地支配層が含まれていた。しかし,イギリス東インド会社は最大の地税収入を確保すべく本制度を生み出した。…

【地主】より


[ムガル帝国]
 ムガル帝国成立前の地主の成立事情については不明な点が多いが,おそらく政治変動の過程で征服,併合,開発による所領の拡大,支配権の強化を通じてさまざまなヒンドゥー地主層が台頭したと考えられる。ムガル帝国はこれらの地主層を一括して〈ザミーンダール(土地所有者)〉と呼んだが,その中には,数十ヵ村,数百ヵ村を領有し,租税の独占的な収取権を持つのみならず,私兵による軍事権や警察権,司法権,行政権をも併せ持つ一種の土豪地主,領主にあたる大地主から,1ヵ村ないし数ヵ村を所有する小地主,一村内の地片を所有する〈手作り地主〉に及ぶ多種の地主層が含まれていた。本来〈支配者こそが唯一絶対の土地所有者〉とするムガル帝国は,実際の各地の統治,徴税にあたっては在地の有力ヒンドゥー地主層を無視しえず,彼らの一部を新たに官僚層に任じその知行地を安堵し,徴税権(場合によっては行政権,軍事権)をゆだねた。…

※「ザミーンダール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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