シェーン(読み)しぇーん(英語表記)Heinrich Theodor von Schön

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェーン」の意味・わかりやすい解説

シェーン(映画)
しぇーん
Shane

アメリカ映画。監督ジョージ・スティーブンス。1953年作品。戦後フランスのヌーベル・バーグの父とよばれた映画批評家アンドレ・バザンが“sur-Western”(新たな西部劇)と特徴づけた作品。1953年は、普及し続けるテレビとの差別化を目論(もくろ)んだシネマスコープという新たな撮影技術が映画界に登場した年で、画面比がスコープサイズ(=横縦比がおおよそ2:1以上のワイドスクリーン)となった。本作はこの恩恵を十二分に受け、興行的な成功も収めた。西部劇の特徴である「荒野」の映像は奥行き感が増してより壮大に映り、そこにひとり映る孤高の主人公にはセンチメンタリズムが漂う。また、左右に広がった空間距離は、銃撃シーンに緊張感とダイナミズムを与えている。既存の型ができていた従来の西部劇映画を古典へと追いやり、このジャンルに新たな息吹を吹き込んで、人気のドル箱ジャンルへと押し上げるきっかけになった作品でもある。1953年、アカデミー撮影賞受賞。1953年(昭和28)日本公開。

[堤龍一郎]


シェーン(プロイセンの政治家)
しぇーん
Heinrich Theodor von Schön
(1773―1856)

プロイセンの政治家。1792年貴族に列せられた官吏を父とし、ケーニヒスベルクで学んだのち、父同様プロイセン官吏となった。シュタインの影響で改革官僚となり、プロイセン改革ではシュタインの片腕として農民解放、都市条例などに取り組んだ。解放戦争が始まると、ワイクセル(ビスワ)川以東の知事となって動員功績をあげ(1813)、西プロイセン州長官(1816)を経て1824年には東西プロイセン州長官となり、改革派の代表的官僚として反動に抗したが敗れ、辞任した(1842)。以後、有名な回想録その他を通じてシュタインの改革擁護、憲法制定、議会開設など自由主義的改革の主張を行った。

[岡崎勝世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェーン」の意味・わかりやすい解説

シェーン
Schön, Heinrich Theodor von

[生]1772.1.20. シュライトラオケン
[没]1856.7.23. アルナオ
ドイツ,プロシアの政治家。カント門下でその影響を受け,また A.スミスの自由主義的,合理主義的思想の影響を受けて自由主義的改革こそプロシア繁栄の基礎と確信した。 1806年から東プロシア州で K.シュタインや C.ハルテンベルクの改革に積極的に協力。 16年西プロシア州長官,24~42年まで国務相としてプロシア全土を統治し,教育,言論,出版の自由と立憲主義の擁護者として活躍した。

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