シカ(鹿)(読み)シカ

百科事典マイペディア 「シカ(鹿)」の意味・わかりやすい解説

シカ(鹿)【シカ】

偶蹄(ぐうてい)目シカ科の哺乳(ほにゅう)類の総称。雄は骨質の枝のある角(枝角)をもつ。角は毎年春に落ち,すぐ柔らかい皮で包まれた袋角を生じ,秋の初め皮がはげ落ちて堅い角が現れる。草食性で反芻(はんすう)胃をもつ。ヨーロッパ,サハラ以北のアフリカ,アジア,南北アメリカ分布。一般に群生し,性質は温和。皮革は柔らかく丈夫で,肉は美味,角は工芸用材とするなど狩猟獣としてすぐれる。アカシカキョン,オジロジカ,キバノロ,ヘラジカトナカイなど種類が多く,13属41種が知られる。ニホンジカは肩高58〜99cmほど。夏毛は茶褐色で白斑をもつが,冬毛はオスは濃い茶色,メスは灰褐色,無斑となる。本州〜屋久島,慶良間諸島,中国東北部,台湾などに分布。山林にすみ,雄は秋に盛んに鳴いて雌を呼び,他の雄と角を突き合わせてたたかい,勝ったものは多数の雌を従えハレムを作る。雌は春〜初夏に1子を生む。

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世界大百科事典 第2版 「シカ(鹿)」の意味・わかりやすい解説

シカ【シカ(鹿) deer】

偶蹄目シカ科Cervidaeの哺乳類の総称。北アメリカから南アメリカユーラシア北アフリカ(エチオピア区を除く)に分布し,13属約41種がある。体の大きさはアンデス,チロエ島などに分布するプーズー(体長78~93cm,尾長2.5~3.5cm,体高32~42cm,体重7~10kg)から,ユーラシアと北アメリカの北部に分布するヘラジカ(体長240~310cm,体高140~235cm,体重200~825kg)まである。

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世界大百科事典内のシカ(鹿)の言及

【毛皮】より

…さらに鞍(くら)下の敷物,野外休息の敷皮などの用途のほか,鎗(やり)の鞘(さや),刀の鞘などを包むなど用途は広く,クマ,サルの毛皮もうつぼの外装に用いられた。庶民はカモシカの毛皮を腰当,引敷(ひつしき)に用い,雪中の行動には,毛の方を内側にしたクマ,カモシカの毛皮の手袋,足袋が盛んに用いられている。カモシカの毛皮の引敷は水をとおさず温かいので,岩上に座して行をする修験者が古来愛用した。…

【しり(尻∥臀)】より

…大型および中型の哺乳類には臀斑という種特有の毛斑をもつものが多く,逃走するときなどに貴重な情報を送る。シカ類にとくに目立ち,ニホンジカの白い臀斑は黒い側斑に囲まれて鮮やかである。プロングホーンは緊張すると臀斑が逆毛立ち,白い光のような信号を仲間に送る。…

【動物】より

…これは細胞が分泌した硬い物質からなり,脊椎動物の骨のような生きた組織ではない。(a)二次体腔がないもの 〈扁形動物門〉は寄生生活のフタゴムシ,カンテツ,エキノコックス,ジョウチュウなどのほか自由生活のウズムシなど,約1万7000種がある。体制が簡単で肛門がない。…

【ニホンジカ】より

…広義には偶蹄目シカ科シカ属シカ亜属の哺乳類全体を指すが,狭義にはそのうちの1種Cervus nippon(イラスト)だけを指す。 シカ亜属(Sika)は東アジア特産の中型の優美なシカ類で,しりに広げることができる白い部分(尾鏡),後足の中足部の外側に淡色の中足腺があり,成長した角にはふつう3叉がある。…

※「シカ(鹿)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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