精選版 日本国語大辞典 「シナモン」の意味・読み・例文・類語
シナモン
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クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の常緑高木。セイロンニッケイともいう。樹皮から香味料のシナモンをとる。高さ10メートルに達し、幼い枝の断面はほとんど四角形をしている。葉は長さ15~30センチメートルの卵形で、表面は光沢のある濃緑色、3本の太い葉脈が目だつ。枝先に黄白色の小さい花を開く。果実は黒色で先がとがり、径約1センチメートル。香味料のシナモンを採取するには、成木を切り倒したあとに株から発生する生育が盛んで樹液の多い若い枝を用いる。セイロン島(スリランカ)では年2回、5~8月および10~12月に採取する。まず、若い枝を切り、樹皮を細長い形にはぎ取り、束にして一昼夜放置し発酵させる。そののち、樹皮の表層のコルク質を削り取り、これを陰干しすると、乾燥するにつれ丸まって細管状になる。最後に3、4日日干しをするとシナモンができあがる。さらに、すこし酸味のある外側を取り除くと繊細で上品な香りと、さわやかな甘味が一段と強調される。
幹や枝の皮、葉などを水蒸気蒸留して得られる精油は桂皮(けいひ)油とよばれ、桂皮アルデヒド、オイゲノールなどを含み、薬用として健胃剤、香料などに用いる。
シナモンは古代ローマ時代から使用された。当時はインドから輸入された貴重品で、甘美な香りは愛をかき立て、愛情を示すものといわれ、王侯貴族の最高の贈り物であった。皇帝ネロが皇后の死を悼み、ローマの1年分のシナモンを全部燃やして弔ったと伝えられている。広く普及したのは中世からで、13~14世紀からはセイロン島がシナモンの主産地として注目され、以降ポルトガル、オランダ、イギリスなどの間で、セイロン島のシナモンをめぐる争奪戦が繰り広げられた。今日の主産地はインドネシア、中国、ベトナム、スリランカなどである。
[星川清親・齋藤 浩 2018年8月21日]
細管状のシナモンを適当な長さに切ったものはシナモンスティックまたはキルとよばれ、紅茶、カクテル、ジュース、チョコレート飲料を飲むときのスプーンのかわりに使われる。また、果物を煮るときやピクルスを漬けるときに用いられる。粉末にしたシナモンは、ケーキ、ドーナツ、アップルパイ、ジャム、焼きリンゴなどに広く利用される。
なお、料理用スパイスとしてシナモンあるいは肉桂(にっけい)とよばれて市販されているものに、近縁種のカシア(トンキンニッケイ)からつくられたものがある。これは厚さ3~5ミリメートルの粗剛な樹皮で、主成分の桂皮アルデヒドをシナモンの倍くらい含有し、香りもやや劣り、味に辛味がある。そのため、シナモンのほうが上品で、シナモンは貴族のためのもので、カシアは一般大衆のためのものであるといわれたこともある。
[星川清親・齋藤 浩 2018年8月21日]
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…【緒方 健】【新田 あや】。。…
…【新田 あや】。。…
…中国南部やインドシナ半島に自生し,栽培もされる。枝や幹を切り外皮を去って,内皮だけをはいで乾燥したものもカシアといい,シナモンの代用とする。ときにはシナモンと称して売られることもある。…
…白と黒がある。 桂皮肉桂,シナモン。肉や鳥の下味付けや醬油煮に入れたり,五香粉の一味としても使われる。…
…主成分はケイ(桂)皮アルデヒドで,ほかにタンニンを含む。 シナモン(セイロンニッケイ)C.verum J.Preslはインド南部,セイロンに分布する常緑小高木で,熱帯各地で栽培される。この樹皮をはいで乾かしたものがセイロン桂皮cinnamon barkで,香味料,製菓用として最もすぐれ,カレー料理の香辛料ともする。…
※「シナモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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