原子力発電所で起きる設計時の想定を上回る大事故。過酷事故ともよばれる。原子炉施設において、大地震、大津波、航空機墜落、テロリズムなどによって、原発設計時に考慮した範囲を超える異常事態が発生し、あらかじめ準備した手段では適切に炉心冷却・核反応制御ができない状態に陥り、炉心溶融、原子炉格納容器の破損、放射性物質の施設外への放出・拡散に至ることを意味する。2011年(平成23)3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による東京電力福島第一原子力発電所事故のほか、1979年のアメリカのスリー・マイル島原子力発電所事故や、1986年に旧ソ連(現、ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原子力発電所事故が該当する。
日本の対策は電力会社の自主的な取り組みに任されてきた。しかし東京電力福島第一原発事故を教訓に、国の原子力規制委員会は2013年7月をめどにシビアアクシデント対策を盛り込んだ安全基準を策定し、電力会社に対策を義務づけることを決めた。対策としては、遠隔操作で原子炉を冷却する施設の導入、原発以外の別の電源システムの確保、原子炉建屋から100メートル以上離れた予備施設の設置、放射性物質を取り除くフィルター付きの排気(ベント)施設の導入などである。新基準を満たさない原発について、原子力規制委員会は再稼働を認めない方針である。
なお、シビアアクシデントという用語は、海外では原発以外の想定を上回る大事故についても使われることがあるが、日本では原発事故に使用される場合が多い。
[編集部]
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