シビウ(英語表記)Sibiu

デジタル大辞泉 「シビウ」の意味・読み・例文・類語

シビウ(Sibiu)

ルーマニア中央部の都市。ドイツ語名ヘルマンシュタットトランシルバニア地方南部に位置する。12世紀末、ドイツのザクセン地方からの移住者により建設され、14世紀から15世紀にかけて、交易商工業の中心地として発展。19世紀にトランシルバニア公国首都となった。旧市街には、15世紀から19世紀にかけての商家に囲まれた大広場(ピアッツァマーレ)、ゴシック様式のシビウ大聖堂、オーストリア帝国の総督だったサミュエル=ブルケンタールの邸宅(現在は博物館)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シビウ」の意味・わかりやすい解説

シビウ
しびう
Sibiu

ルーマニア中央部、シビウ県の県都。ドイツ名ヘルマンシュタットHermannstadt。トランシルバニア地方の南端にあり、オルト渓谷の北に位置する。人口15万5045(2002)。機械、金属繊維皮革、食品の各工業が発達している。紀元前にローマ植民地として要塞(ようさい)が築かれた。12世紀のドイツ人の植民により、交易、政治、文化の中心地として発展した。1989年のチャウシェスク社会主義政権崩壊後、ドイツ人は減少し、ルーマニア人が多数を占めるようになった。グリビツァ要塞塔、ブルケンタール博物館、国立劇場などがあり、中世おもかげを残す文化都市である。

[佐々田誠之助]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シビウ」の意味・わかりやすい解説

シビウ
Sibiu

ドイツ語ではヘルマンシュタット Hermannstadt,ハンガリー語ではナジセベン Nagyszeben。ルーマニア中部,シビウ県 (面積 5422km2。人口 45万 2800〈1992推計〉) の県都。オルト川に沿って南カルパート山脈を越えるトゥルヌロシュ渓谷の北に位置する。ローマの属領ダキアの植民都市として建設され,12世紀にはザクセン人が移住,14世紀にはドイツ系住民の行政,商業の中心地として繁栄した。当時の城壁,ルター派の聖堂などが残る。第2次世界大戦後ルーマニア領となった。機械,繊維,印刷,化学,皮革などの工業が行われ,ブカレスト,ブラショブ,アラドなどと鉄道,道路で結ばれる。 18世紀のバロック様式の宮殿に設けられたブルケンタール美術館はトランシルバニア地方最大の絵画,図書のコレクションを蔵する。国立劇場や宗教改革期に創設された中等学校,クルージ大学の分校もあり,文教の一中心となっている。人口 16万 9696 (1992推計) 。

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世界大百科事典 第2版 「シビウ」の意味・わかりやすい解説

シビウ【Sibiu】

ルーマニアのトランシルバニア南部の都市。同名県の県都。ドイツ語ではヘルマンシュタットHermannstadt,ハンガリー語ではナジセベンNagyszeben。人口は郊外地を除き,17万1000(1994)。現在は住民の大多数はルーマニア人で,ドイツ人(ザクセン人とよばれた),ハンガリー人等がこれに次いでいる。南方にカルパチ山脈に属するロトゥル,ファガラシュの山脈がそびえ(最高はモルドベアヌル山,2544m),市はその山麓に連なる丘陵地帯に位置し,オルト川の支流チビン川に沿っている。

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