シャウディン(その他表記)Fritz Richard Schaudinn

精選版 日本国語大辞典 「シャウディン」の意味・読み・例文・類語

シャウディン

  1. ( Fritz Schaudinn フリッツ━ ) ドイツの動物学者。原生動物、特に病原性原虫類の研究一生を捧げた。梅毒病原体であるスピロヘータの一種トリポネマ・パリダムを発見。(一八七一‐一九〇六

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改訂新版 世界大百科事典 「シャウディン」の意味・わかりやすい解説

シャウディン
Fritz Richard Schaudinn
生没年:1871-1906

ドイツの原生動物学者。1905年に皮膚科学者ホフマンE.Hoffmannとともに梅毒の病原体スピロヘータ・パリダSpirochaeta pallidaを発見したことでとくに知られる。東プロイセンに生まれ,ベルリン大学で動物学を学ぶ。卒業後,病原性原虫類の研究に従事,熱帯赤痢がアメーバEnta-moeba histolyticaでおこることを証明したほか,マラリアについても知見を得た。1905年3月3日,ホフマンが病巣より得た材料からスピロヘータを発見(のちTreponema pallidumと称する)し公表した。1904年ベルリンの国立衛生局原生動物部長,06年ハンブルクの船舶熱帯衛生研究所所長となるが,同年わずか34歳で死亡した。なおシャウディンを記念して,微生物学に関するすぐれた研究に対し,フリッツ・シャウディン賞が設定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャウディン」の意味・わかりやすい解説

シャウディン
しゃうでぃん
Fritz Schaudinn
(1871―1906)

ドイツの動物学者。ベルリン大学で動物学を学ぶ。卒業後、いろいろな大学、研究所を転々として研究し、その業績が認められて1906年にハンブルクの航海・熱帯衛生研究所の原生動物研究部門の部長になったが、同年6月若くして死亡した。赤痢アメーバと無害の大腸アメーバ、アフリカ睡眠病、マラリア病およびコクシジウム症家畜などの下痢)の病原虫の形態、増殖、生活史に関する研究はどれも国際的な名声を博した。とくに梅毒の病原体(細菌)の発見(1905)は著名である。ほかに、自由生活のアメーバ、有孔虫、タイヨウチュウ類の分類、核、生理などについても研究した。1902年に原生生物の専門誌『原生生物学論叢(ろんそう)』Archiv für Protistenkundeを創刊した。これは現在も刊行されている。

[片島 亮]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャウディン」の意味・わかりやすい解説

シャウディン
Schaudinn, Fritz

[生]1871.9.19. レーゼニンケン
[没]1906.6.22. ハンブルク
ドイツの微生物学者。 1894年ベルリン大学で学位取得。同大学講師 (1898) を経て,ベルリンの帝国衛生院原生動物学部長 (1904) 。アメーバ赤痢の病原体である Entamoeba histolytica (赤痢アメーバ) と無害な類縁種 E.coliを初めて区別し,1904年に赤痢アメーバを自分のからだに感染させて発病に成功,05年には梅毒の病原体を発見してスピロヘータ・パリダと命名 (現在はトレポネーマ・パリドゥムという) するなど,病原虫の研究を通して,原生動物学の確立に寄与した。

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世界大百科事典(旧版)内のシャウディンの言及

【性病】より

…79年にナイサーAlbert L.S.Neisser(1855‐1916)は淋菌を発見し,さらに89年にはデュクレーAugusto Ducrey(1860‐1932)は軟性下疳菌を発見した。つづいて1905年F.R.シャウディンとホフマンErich Hoffmann(1868‐1959)は梅毒トレポネマを検出した。おくれて鼠径リンパ肉芽腫の病原体として,36年宮川米次らにより宮川小体が発見された。…

【梅毒】より

… 性病は,近代の細菌学の発達によって,それぞれの病原菌が確定されるまでは,正確な区別がなされていなかった。梅毒が他の性病と区別されるようになったのは,1905年にF.R.シャウディンとホフマンErich Hoffmann(1868‐1959)により梅毒トレポネマが発見されて以後のことである(はじめスピロヘータ・パリダと命名,のちにトレポネマ・パリズムと改称)。1910年P.エールリヒ,秦佐八郎によって有機ヒ素剤であるサルバルサンが開発され,初めての化学療法剤として梅毒の治療に用いられたが,治療効果は不十分であり,副作用が多発した。…

※「シャウディン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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