シャリバリ(英語表記)Le Charivari

世界大百科事典 第2版 「シャリバリ」の意味・わかりやすい解説

シャリバリ【charivari】

〈シャリバリ〉というフランス語の語源は明らかでないが,共同体の伝統的規範を侵犯した者に対し,儀礼化したやり方で罰を加える行為であって,中世から19世紀に至るまで,広くヨーロッパ各地に見られた。英語では〈ラフ・ミュージックrough music〉,ドイツ語では〈カッツェンムジークKatzenmusik〉,イタリア語では〈スカンパナーテscampanate〉などと呼ばれている。シャリバリの対象として最も多く見られるのは,再婚をめぐっての事例であり,男やもめと若い娘とか,若者と年齢がかけ離れた寡婦といった組合せで,しかも一方よそ者の場合など,あつらえむきのシャリバリの対象であった。

シャリバリ【Le Charivari】

19世紀フランスで刊行された絵入り風刺新聞。1832年より93年まで続いた。すでに1830年に政治風刺の週刊誌《カリカチュールLa Caricature》を創刊していた素描家フィリポンCharles Philipon(1806‐62)によって刊行され,グランビル,ドーミエ,ガバルニ,シャムCham(1819‐79)などの優れた素描家の手で風刺漫画が描かれた。とりわけ七月王政期に,反ルイ・フィリップのキャンペーンで幾度も検閲の対象となり,二月革命(1848)の世論をつくり上げるのに貢献した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャリバリ」の意味・わかりやすい解説

シャリバリ
Le Charivari

1832年 12月1日に風刺版画家の C.フィリポンによって創刊されたフランスの風刺新聞。 93年まで発行されたが,当初は国王ルイ・フィリップへの政治的攻撃を主とし,特に石版風刺画にドーミエ寄稿を得たことで名高い。『ラ・カリカチュール』紙の発禁後からドーミエは 25年間にわたって,同紙に『ロベール・マケール』その他の石版画連作を発表した。

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世界大百科事典内のシャリバリの言及

【ドーミエ】より

…少年時代は生活のために働きながら絵や石版術を学んだ。ルイ・フィリップを洋梨になぞらえたフィリポンCharles Philipon(1804‐62)が主宰している風刺雑誌《カリカチュール》,《シャリバリ》を舞台に,シャルレNicolas Toussaint Charlet(1792‐1845),トラビエCharles‐Joseph Traviès(1804‐59),ドベリアAchille Deveria(1805‐59)らと共通する様式の石版風刺画家として声価を確立する。その契機となったのは洋梨風の国王を貪欲な巨人に見たてた《ガルガンチュア》(1830)で,このため6ヵ月の入獄と罰金が科された。…

※「シャリバリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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