シャン族(読み)シャンぞく(英語表記)Shan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャン族」の意味・わかりやすい解説

シャン族
シャンぞく
Shan

ミャンマー北部のシャン高原からインドシナ半島北部の山地,さらに中国南部の山地にかけて居住する民族。タイ・ヤイ族ともいう。言語は西部タイ語族に属する。人口約 350万以上と推定される。インドアッサムと境を接する北部ミャンマーのアムティシャン,中国のシャン,ミャンマーのシャンの三つに大別される。生業灌漑による水稲栽培で定住農耕である。社会組織は氏族のような単系的親族集団を欠き,夫婦とその未婚の子供からなる核家族(小家族)が村組織の単位をなしている。また貴族平民,下層民という世襲的カーストが存在している。シャン族は言語的,文化的には同質であるが,信仰面では地域差があり,中国やミャンマーでは部派仏教を,アッサムではヒンドゥー教を信奉している。それらのほかに,ピー Phiやナット Natと呼ばれるアニミズムも深く浸透している。

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世界大百科事典 第2版 「シャン族」の意味・わかりやすい解説

シャンぞく【シャン族 Shan】

インドのアッサム地方から上ミャンマーを経て中国雲南省にかけて分布するタイ系諸族の一支族。中国では白夷または擺夷と記されてきた。雲南省には彼らの自治を認めたシーサンパンナ(西双版納)タイ(傣)族自治州が設けられている。上ミャンマーのシャン高原のシャン族は,タイ・ヤイTai Yaiと自称しているが,これが狭義のシャン族である。12~16世紀には多数の土侯国を形成していたが,その後ビルマ王国に服属し,現在は自治州の連合体を構成している。

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旺文社世界史事典 三訂版 「シャン族」の解説

シャン族
シャンぞく
Shans

北ビルマの山地を中心に分布しているタイ諸族の一派
雲南地方から移住。8世紀にはマオ−シャン王国,13世紀末期にはビルマ本土にピンヤ朝・アバ朝などを立ててビルマを支配。のちビルマ人の支配下にはいり,多く藩王国からなるシャン諸国を形成した。

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世界大百科事典内のシャン族の言及

【タイ族】より

…ヒンドゥー教の影響下にタイ固有の文化を喪失し,タイ語も司祭クラスに保存されているにすぎない。(b)シャン族 ビルマ・シャン族(ミャンマー東部のシャン州),チャイニーズ・シャン族(中国雲南省とミャンマーの国境付近)などに分かれる。シャンとはビルマ族がタイ族をよぶ名称で,中国人はパーイとよんでいる。…

【ミャンマー】より

…同じチベット・ビルマ語系の民族でも,カチン族は中国国境沿いのカチン州に,チン族はインド国境に接したチン州に住んでいる。タイ諸語系の民族のうち最も人口が多いシャン族は,タイ,ラオスと国境を接したシャン州に住んでいる。カレン族はサルウィン川流域のカヤー,カレン両州とイラワジ・デルタに多い。…

※「シャン族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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