シャープ

精選版 日本国語大辞典 「シャープ」の意味・読み・例文・類語

シャープ

(sharp)
[1] 〘形動〙 鋭いさま。とがっているさま。(頭脳センスなどが)鋭敏なさま。とぎすまされて、いきなさま。(映像などが)はっきりとしているさま。
※或る女(1919)〈有島武郎〉後「ハミルトン氏は実にシャープなビジネスマンライキな人です」
[2] 〘名〙
① (━する) 西洋音楽記譜法で、指定された音を半音上げる記号。#で示す。嬰(えい)記号。また、音を半音上げること。⇔フラット
※日本人のへそ(1969)〈井上ひさし一幕「あのなっちゃいないラッパの音がサ。いつもシャープしたり、フラットしたり」
② 「シャープペンシル」の略。
※鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造背広奉公袋には三年分のシャープのシンとシャープペンシルをいれて、応召した」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ

総合電子機器メーカー。1912年早川徳次の個人企業として創業。1915年金属繰り出し鉛筆(→シャープペンシル)を発明,販売した。1924年早川金属工業研究所として創立,1935年株式会社に改組,1936年早川金属工業と改称,1942年早川電機工業と改称。1967年シャープ電機を合併,1970年社名をシャープに変更。技術面では 1953年国産第1号となるテレビ(→テレビジョン)製作に始まり,1964年世界初の電子式卓上計算機電卓)の発売,1969年ガリウムヒ素負性抵抗発光ダイオード GNDを開発,1970年世界で初めて多相大規模集積回路 ELSI(→大規模集積回路)の量産に着手した。1982年に半導体研究所を建設。1986年液晶事業部発足。2001年液晶テレビ(→液晶ディスプレイ)発売。液晶,半導体など電子部品や,超小型電卓,電子手帳など情報機器の分野で発展した。2004年三重県亀山市に液晶テレビを量産する亀山工場を,2009年大阪府堺市に大型液晶パネルと太陽電池を生産する堺工場を建設。しかし 2012年頃から主力である液晶事業の不振により急激に赤字に転落,経営危機に陥った。2012年7月,タイワン(台湾)の鴻海(ホンハイ)グループの投資会社が堺工場の共同経営者となった。その後資本増強や金融支援を重ね自力再建を目指したが,2016年4月,鴻海グループの電子機器受託製造サービス企業 EMSである鴻海精密工業に買収された。

シャープ
Sharp, Phillip A.

[生]1944.6.6. ケンタッキー,ファルマス
アメリカの分子生物学者。 1969年イリノイ大学で化学の博士号を取得後カリフォルニア工科大学で研究を開始。 71年ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所に移り,72~74年上級研究員。 74年からマサチューセッツ工科大学癌研究所部長,生物学部長などを歴任。 77年分断されたデオキシリボ核酸 DNA領域に相応するメッセンジャー RNA (mRNA) を発見,蛋白質合成を符号化された DNA領域 (エクソン) は遺伝情報をもたない長い DNA領域 (イントロン=介在配列) によって分断されていることを明らかにした。同時期,R.J.ロバーツの研究チームも別個に同じ発見をしている。それまでのバクテリア研究を基にした学説では,遺伝子は蛋白質合成において mRNAに直接作用する一続きの長い DNAから成ると信じられていたが,彼らの発見以降,人間をはじめとする高等生物では分断された遺伝子構造 (スプリット・ジーン) のほうが一般的だとの認識が確立された。さらに遺伝子断片の統合過程 (スプライシング) が進化を速めることが判明,多くの遺伝病がスプライシングの異常によるものとされた。また遺伝子の分断構造がエクソンの再編成を促し結果として新しい蛋白質の合成をもたらすという画期的なメカニズムをもつものと考えられている。 93年ロバーツとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。

シャープ
Sharpe,William Forsyth

[生]1934.6.16. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカの経済学者。カリフォルニア大学卒業。スタンフォード大学名誉教授。 1957~61年ランド社に勤務。 64年ワシントン大学で資産評価モデルを発表,「ベータ」と呼ばれるポートフォリオのリスク測度を導き出した。これは株式全般のリスクの比較や投資信託のリスク決定に広く用いられている。主著は『ポートフォリオ理論と資本市場』 Portfolio Theory and Capital Market (1970) で,不確実性のもとの金融についての意思決定と資本市場の分析が彼の主要な貢献である。経営コンサルティング会社 W.F.シャープ協会の筆頭取締役としても活躍。 M.H.ミラー,ランド社で出会った H.マーコビッツとともに 90年ノーベル経済学賞受賞。

シャープ
Sharp, James

[生]1613.5.4.
[没]1679.5.3. メイガスミュア
スコットランドの聖職者。長老派指導者の一人でセントアンドルーズ大学哲学教授をつとめ,1651~52年 O.クロムウェルによりロンドン塔に投獄された。 59年 G.マンクの王政復古案を支持し,翌年オランダのブレダにおもむいてチャールズ2世と会見,長老派擁護の使命を裏切って,セントアンドルーズ大主教の地位を得て主教制度派に転向,以後長老派への弾圧に努力。裏切りと容赦ない迫害によって恨みを買い,セントアンドルーズ近くで長老派の一隊に襲われ,暗殺された。

シャープ
Sharp, William

[生]1855.9.12. ペイズリー
[没]1905.12.12. シチリア島
スコットランド生れのイギリスの作家。グラスゴー大学卒業。 D.G.ロセッティ (1882) ,シェリー (87) ,ハイネ (88) ,R.ブラウニング (90) の伝記のほか『ロマン的民謡と幻想の詩』 Romantic Ballads and Poems of Phantasy (88) や,『明日の子供たち』 Children of Tomorrow (89) から『流浪の女たち』 Wives in Exile (98) にいたるロマンス物がある。 1893年以降 Fiona Macleodの筆名で多くの詩文を書いたが,生前その事実は知られなかった。

シャープ
Sharp, William

[生]1749.1.29. ロンドン
[没]1824.7.25. ロンドン
イギリスの素描家,版画家。若い頃にはスズ食器の装飾の彫金をしていたが,ロンドン塔にいたライオンを題材とした版画によって認められ,『ノベリスツ・マガジン』に版画を発表した。肖像画,風俗画,歴史画を多く描く。カラッチ,G.レニ,レイノルズらの作品の模写を多く作った。

シャープ

嬰記号」のページをご覧ください。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「シャープ」の解説

シャープ

正式社名「シャープ株式会社」。英文社名「Sharp Corporation」。電気機器製造業。大正元年(1912)個人創業。昭和10年(1935)「株式会社早川金属工業研究所」設立。同17年(1942)「早川電機工業株式会社」に改称。同45年(1970)現在の社名に変更。本社は大阪市阿倍野区長池町。総合電機メーカー。電気通信機器・電気機器・電子部品などを製造。東京証券取引所第1部上場。証券コード6753。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「シャープ」の解説

シャープ

AV機器、パソコン、家電製品などを製造・販売する大手電機メーカー。1912年創業。会社設立は1935年。1993年、現在のPDAの先駆けといえる「ザウルス」を発表。現在、ノートパソコン「Mebius」シリーズなど、液晶技術を生かした製品群を販売している。

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百科事典マイペディア 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ

嬰(えい)記号

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デジタル大辞泉プラス 「シャープ」の解説

シャープ

NHKの子供向けテレビ番組『クインテット』(2003年放映開始)に登場するキャラクター。

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とっさの日本語便利帳 「シャープ」の解説

シャープ

シャープペンシル(創業者が、その考案者)

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世界大百科事典内のシャープの言及

【変化記号】より

…基本音階(ハ長調音階つまりピアノの白鍵に相当)に含まれる音を幹音(かんおん)または本位音といい,これを半音一つまたは二つぶん変化させた音を派生音(変化音,変位音とも)という。変化記号には幹音を半音高くする嬰記号(シャープsharp ♯),半音低くする変記号(フラットflat ♭),半音二つぶん高くする重嬰記号(ダブル・シャープ ),半音二つぶん低くする重変記号(ダブル・フラット ♭♭),それに以上のすべての変化記号の効力を消して派生音を幹音に戻す本位記号(ナチュラルnatural ♮)の5種がある。 変化記号の役割には調号と臨時記号の二通りがある。…

※「シャープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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