改訂新版 世界大百科事典 「シラウオ」の意味・わかりやすい解説
シラウオ (白魚)
icefish
Salangichthys microdon
サケ目シラウオ科の魚。頭が小さく体は細長く体の後方は側扁する。生きているときにはややあめ色を呈して半透明であるが,死ぬと白く不透明になる。腹面に2列の小黒点が並んでいる。雄のしりびれの基底に沿って大きなうろこが16~18枚1列に並んでいるほかは,雌雄ともにうろこがない。背びれの後方にあぶらびれをもっている。日本では北海道から九州にかけて分布している。霞ヶ浦における陸封型(全長6.5~7cm)と成長期に海に下る降海型(全長9~10cm)がある。孵化(ふか)後満1年で成熟し,産卵期は2月下旬~5月上旬で,砂泥質の河口付近で産卵する。卵は付着性で,霞ヶ浦での研究では水草に,河川では砂粒に産みつけられていた。卵径は0.7~0.9mmで,1尾で2000個近く産卵するものもある。産卵後,親魚は疲弊して死ぬ。卵は塩分の変化によく耐え水温10℃で約20~26日,15℃で8~12日ほどで孵化する。餌は浮遊性の甲殻類を食べる。産卵期に遡上(そじよう)してくるシラウオを引網,四つ手網などで漁獲する。イワシのしらす網などにも混獲される。生食,すし種,てんぷら,吸物などにして高級魚として賞味される。
日本にはほかに数種のシラウオ類が生息し,太平洋産のイシカワシラウオ,有明海のアリアケシラウオ,有明海に流れ込む筑後川の淡水域にのみ生息するアリアケヒメシラウオがある。最近は,中国で産する大型の銀魚(インユー)が輸入され市場に出回っている。シロウオとは異なる。
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報