改訂新版 世界大百科事典 「シワリク丘陵」の意味・わかりやすい解説
シワリク丘陵 (シワリクきゅうりょう)
Siwalik Hills
ヒマラヤ山脈の南縁に沿って横たわり,西はインダス川から東はブラフマプトラ川まで幅8~50km,高さ900~3000m,全長1600kmにわたる丘陵。地質学的にはサブ・ヒマラヤ帯とされる。シワリクという語は北部インドの1地名だったが,上記地域全体をさすようになった。この地域は中新世中ごろから更新世初めにかけて形成された。この丘陵の主部をつくるシワリク層群の地層は古い方から下部(カムリアル,チンジ),中部(ナグリ,ドーク・パタン),上部(タトロット,ピンジョール,ボールダー・コングロメレート)に分けられる。
シワリク動物群
シワリク層群から産出する陸生の化石脊椎動物群をこう呼ぶが,1846-49年に,イギリス人のファルコナーH.FalconerとコートリーP.T.Cautleyが大著《Fauna Antiqua Sivalensis》で豊富な長鼻類,偶蹄類などの化石を紹介して世界的に知られるようになった。近年では,人類の起源に関係の深いラマピテクス,シバピテクス,ギガントピテクスなどの霊長類化石が含まれていることで注目されている。化石が多いのはパキスタンのポトワール盆地とインドのパンジャーブ地方であり,哺乳類化石の組合せにより7帯に区分される。哺乳類化石の内容で,アフリカとの関係が強い時期,ヨーロッパとの関係のある時期など時代的変遷がよく知られている。中新世末から鮮新世にかけての日本の哺乳類にはこの動物群と関係のあるものがあることが知られている。
執筆者:江原 昭善+亀井 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報