翻訳|diazepam
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬(マイナー・トランキライザー)の代表的な薬物。1960年に合成され,63年から臨床に用いられるようになり,日本では64年から発売されている。抗不安作用のほか,抗痙攣(けいれん),睡眠誘導,筋弛緩の作用もある。ベンゾジアゼピンの作用機序は最近になって明らかになりつつある。すなわち,中枢神経系においてγ-アミノ酪酸が関与した生体機構に作用すると考えられる。中枢抑制薬との併用や飲酒によりジアゼパムの作用は増強される。神経症による不安,過度の緊張などにも適用されるほか,肩こりや腰痛などの筋緊張性疾患にも用いられる。重篤な副作用はないが,傾眠,歩行時のふらつきなどがある。それよりも乱用による依存性に注意しなければならない。このことに注意すれば概して使いやすい薬物である。
執筆者:福田 英臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
7-chloro-1,3-dihydro-1-methyl-5-phenyl-2H-1,4-benzodiazepin-2-one.C16H13ClN2O(284.75).2-メチルアミノ-5-クロロベンゾフェノンとクロロアセチルクロリドとを縮合させ,アンモニアで閉環させると得られる.白色の板状晶.融点125~126 ℃.クロロホルム,ジメチルホルムアミド,ベンゼン,アセトン,エタノールに可溶,水に微溶.マイナートランキライザーに属し,精神神経疾患に用いられるほか,催眠薬,骨格筋弛緩薬,抗けいれん薬としても使用される.LD50 710 mg/kg(ラット,経口).[CAS 439-14-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
抗不安薬、マイナートランキライザー(穏和精神安定剤)。クロルジアゼポキシドに次いで開発されたベンゾジアゼピン系向精神薬で、催眠、筋弛緩(しかん)、抗けいれん作用を有しているので、神経症やうつ病などの治療に用いられる。散剤(1%含有)、細粒剤(1%含有)、錠剤(2ミリグラム、3ミリグラム、5ミリグラム、10ミリグラム含有)、シロップ(0.1%含有)、注射液(1ミリリットル中5ミリグラム、2ミリリットル中10ミリグラム含有)が市販されている。市販名「セルシン」「ホリゾン」。
[幸保文治]
…また,脳幹網様体への作用も筋弛緩に関与している。錐体路の病変の徴候である痙縮や痙性麻痺に対しては,ジアゼパムがよく用いられていたが,塩酸トルペリゾンなどが抗痙縮薬として脳卒中後遺症,脳性麻痺,痙性脊髄麻痺などの痙性麻痺に有効であることが確認された。カルバミン酸クロルフェネシンの化学構造はメフェネシン型である。…
…40℃もの高熱,大脳の嵌頓(かんとん)ヘルニアによる瞳孔左右不同症をみるに至り,死亡する。最近,ジアゼパム20~30mgの急速静注(静脈内注射)により,比較的容易に治療できるようになった。欠神発作重積状態には,定型欠神発作重積状態と発作性昏迷ictal stuporとか棘徐波昏迷spike‐wave stupor(ニーデルマイヤーE.NiedermeyerとカーリフェーR.Khalifeh,1965)と呼ばれる状態がある。…
…しかし,まぎらわしいので現在では,前者を抗不安薬anti‐anxiety drug,後者を抗精神病薬anti‐psychotic drugとよぶようになった。バーガーF.M.Bergerが筋弛緩薬として合成したメプロバメートに抗不安作用が発見された(1955)のが最初の抗不安薬で,次いでベンゾダイアゼピン系のクロルジアゼポキサイド,ジアゼパム,オキサゼパムなどが合成され,心身症などに広く用いられている。これらは筋弛緩や眠気などを伴うので,服用後の自動車運転は危険である。…
※「ジアゼパム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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