ジャケツイバラ(読み)じゃけついばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャケツイバラ」の意味・わかりやすい解説

ジャケツイバラ
じゃけついばら / 蛇結茨
[学] Caesalpinia decapetala (Roth) Alston var. japonica (Sieb. et Zucc.) H.Ohashi

マメ科(APG分類:マメ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。高さ1~2メートル、枝はつる状に長く伸び、じょうぶで鋭くとがる刺(とげ)をつける。葉は大きく、長さ20~40センチメートル、2回偶数羽状複葉で、葉軸にも逆刺がある。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ1~2センチメートル。4~6月、枝先に長さ20~30センチメートルの総状花序をつけ、鮮黄色の花を多数つける。花は左右相称横向き、径2.5~3センチメートル。10本ある雄しべは離生し、花外に突き出て、葯(やく)は赤い。豆果楕円形で長さ7~10センチメートル。山地河原などの陽地に生え、山形、宮城県以西の本州、四国、九州、沖縄に分布する。名は、つるが蛇の絡む姿に似ていることに由来する。

 本種の漢字名として中国名の雲実をあてることがあるが、雲実はジャケツイバラの母変種をさす。これは下痢止めマラリアの薬、駆虫薬などにする。

[立石庸一 2019年10月18日]


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百科事典マイペディア 「ジャケツイバラ」の意味・わかりやすい解説

ジャケツイバラ

カワラフジとも。東北南部〜沖縄,東アジア山野,河原にはえるマメ科のつる性落葉低木。茎や葉には,鉤(かぎ)状の鋭いとげがある。葉は2回羽状の偶数複葉,小葉は楕円形で長さ1〜2cm,裏は白い。4〜6月,若枝の先に総状花序を出し,左右相称の5弁花を多数開く。花は黄色で径2.5〜3cm。豆果は扁平な長楕円形で長さ8〜10cm。
→関連項目スオウ(蘇芳)

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世界大百科事典 第2版 「ジャケツイバラ」の意味・わかりやすい解説

ジャケツイバラ【Caesalpinia decapetala (Roth) Alst. var.japonica (Sieb.et Zucc.) Ohashi】

山地の河原,川岸,林縁など日当りのよいやや湿地を好むマメ科のつる性低木で,枝に鋭くとがったかぎ形のとげが無数にあり,多数の黄金色の美しい花を長い穂につける。和名蛇結茨の意で,とげだらけの枝がもつれながら伸びている様子をヘビがからみ合っているように見立てたという。幹は長く伸びて他の樹木をおおうこともあり,枝は赤褐色でよく分枝する。葉は互生し,2回羽状複葉で,羽片は3~8対あり,1枚の羽片に5~10対の偶数個の小葉がつく。

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