スイギュウ(水牛)(読み)スイギュウ

世界大百科事典 第2版 「スイギュウ(水牛)」の意味・わかりやすい解説

スイギュウ【スイギュウ(水牛) buffalo】

偶蹄目ウシ科ウシ亜科に属する哺乳類のうち,角の横断面がほぼ三角形で,とくに水浴びを好むものの総称。しばしばアジアスイギュウ別称としても用いられる。スイギュウ類は,雄にも首にたれ皮がなく,鬐甲(きこう)部(首が肩に続くところ)がとくに高まらず,体毛はまばらで,老獣では全身がほとんど裸出する。野生種はアフリカと南アジアの熱帯地方に分布し,アフリカスイギュウ(クロスイギュウ)Synceros caffer(イラスト),アカスイギュウS.nanus,アジアスイギュウBubalus bubalis(=B.arnee),ミンドロスイギュウ(タマラオ)B.mindorensisアノアAnoa depressicornis(イラスト),ヤマアノアA.quarlesiの3属6種がある。

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百科事典マイペディア 「スイギュウ(水牛)」の意味・わかりやすい解説

スイギュウ(水牛)【スイギュウ】

偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の哺乳(ほにゅう)類。アジアスイギュウ,アフリカスイギュウ,スイギュウ,アノア,タマラオ,ヤマアノアなどが知られる。アジアスイギュウは肩高1.6〜1.9m,体重はオス1200kg,メス800kgほど。体色は黒灰色,角は三日月形で隆起線がある。野生種はインドの一部,ネパール,インドシナなどに分布し,水辺群生。気が荒い。スイギュウは家畜として東南アジア,南欧などで広く飼われ,運搬用,水田耕作用。粗放な飼育管理にも耐え,熱帯性風土病に対しても抵抗力が強い。アフリカスイギュウは肩高1.0〜1.7mほどで,前種よりいくらか褐色が強い。サハラ以南のアフリカに分布し,群生,季節的に大群を作ることがある。
→関連項目ウシ(牛)家畜

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世界大百科事典内のスイギュウ(水牛)の言及

【バイソン】より

…野生での寿命は20年くらいだが,飼育下では約40年の記録がある。 なお,アメリカではアメリカバイソンをバッファローbuffaloと呼ぶことがあるが,バッファローは元来スイギュウを指す英語であるから適切ではない。【今泉 忠明】 農耕をも行っていたとはいえ,シャイアン,アラパホなどの平原インディアンにとって,かつて大平原に大群をなして存在したアメリカバイソンは,食肉,衣服,寝具,テント,ボートなど,衣食住すべての供給源であった。…

【バッファロー】より

…偶蹄目ウシ科の動物のうち,とくにスイギュウ類をさす英名。アジアスイギュウAsian water buffaloと,アフリカスイギュウAfrican buffaloに対して用いられるが,アメリカバイソンの俗称ともされる。これはカナダへ入植したフランス系の人々がバイソンをル・バッフle bœuf(ウシの意)と呼んだものが,英語でバッフルbuffle,バッフェロbuffeloと変化し,最後にバッファローとなったものである。…

【ウシ(牛)】より

…世界各地で乳用,肉用,役用などに飼われる家畜牛(イエウシ)で,ヨーロッパ系とアジア系(コブウシ系)がある。ウシはまた,バンテンガウアヤクなどの野生牛を含むウシ属Bosの総称,またはさらにバイソンスイギュウを含むウシ亜科Bobinaeの総称ともされる。狭義のウシ(イエウシ)は肩高90cm,体重250kg以下の小型のものから肩高165cm,体重1450kgに及ぶ巨大なものまであり,形態は変化に富むが,すべて後述のウシ科ウシ亜科の特徴を備えている。…

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