知恵蔵 「スカイマーク」の解説
スカイマーク
スカイマークエアラインズ株式会社は、低価格旅行業者として知られる株式会社エイチ・アイ・エスの傘下で96年に設立された。98年から定期運航を開始し格安運賃で好評を博した。LCCと同様に機内サービスを簡素化し、普通運賃をFSA他社の半額程度に抑え、平均80%という高い搭乗率を誇った。その後、FSA・LCC各社との競争激化で業績は低迷、様々な対策や見直しで回復傾向にはあったものの、2003年ごろには累積赤字が約130億円に達した。このため、IT関連事業家の西久保愼一が増資を引き受け、04年に社長に就任し債務超過を解消した。06年10月に現在の社名に変更したが、英語表記では「Skymark Airlines Inc.」として「エアライン」の名を残す。国内のFSAで1位のANA、2位の日航が売り上げ1兆円を超えるのに対して、同社は3位ながらも1千億円にはるかに及ばない。筆頭株主でもある西久保社長の持論は「健全な収益性」とのことであるが、安全運航を脅かしかねないトラブルが頻発し、国土交通省から度々注意などを受けている。また、成果主義人事に反発した退職が相次いで人手不足となったり、「機内での苦情は受け付けない」などと公言したり、ミニスカートの制服を導入したりするなど、しばしば物議を醸している。
成田―ニューヨーク路線など国際線就航のため、超大型旅客機A380型機6機を約1900億円かけて購入する契約を11年にエアバス社と結び、これまでに約260億円を支払った。しかし14年4~6月期は、純損失が約58億円となるなど業績の不振や円安の進行により、4月から前払金の支払いが滞り7月にはエアバス社から契約解除の通知を受けた。エアバス社は契約変更・取引継続にはスカイマークが大手航空会社の傘下に入ることが条件としており、もし解約となれば約700億円とされる多額の解約違約金の支払いを求めている。西久保社長は「当面の運転資金に問題はない」とするが、今後の資金繰りについて大きな困難が予想される。こうしたことを受け、スカイマークは10月26日から成田空港発着便など4路線から撤退、その他不採算路線の運休などで立て直しを図るが、先行きは不透明と見られている(14年9月時点)。
(金谷俊秀 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報