スタンドバイクレジット(英語表記)stand-by credit

デジタル大辞泉 「スタンドバイクレジット」の意味・読み・例文・類語

スタンドバイ‐クレジット(standby credit)

日本企業の海外支店などが外国現地銀行から融資を受けようとする場合に、債務保証として日本の取引銀行が発行する信用状
IMF国際通貨基金)があらかじめ包括的な信用供与枠を設定し、加盟国にその限度内で行う融資。

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精選版 日本国語大辞典 「スタンドバイクレジット」の意味・読み・例文・類語

スタンドバイ‐クレジット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] standby credit )
  2. 商社の海外支店が現地の外国銀行から資本を借入するとき、その返済を保証するために日本の銀行が発行するクリーン信用状
  3. IMF(国際通貨基金)その他国際金融機関が、あらかじめ期間を定めて信用供与枠を設定し、その限度内で借入国に融資を行なう方式

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改訂新版 世界大百科事典 「スタンドバイクレジット」の意味・わかりやすい解説

スタンドバイ・クレジット
stand-by credit

国際金融用語として今日,二つの意味で広く使われる。(1)国際的な貿易取引の決済を目的とするものでなく,金融取引において融資または保証を約するクリーン信用状を指す。たとえば,日本の企業の海外支社や現地法人などが外国の現地銀行から融資あるいは保証を受ける場合,その債務を保証するため,日本の企業はその取引銀行に対して現地銀行を受益者とする信用状の発行を依頼する。この現地銀行は,債務者が債務不履行に陥った場合,この信用状に基づき一覧払手形を振り出し,信用状発行銀行にその支払を求めることになる。(2)国際通貨基金(IMF)がその加盟国に対し行う融資の一形式をいい,IMFが借入国との間であらかじめ包括的な融資取決め(スタンドバイ取決めという)を結び,たとえば1年とか2年という一定期間内に借入国がその外貨事情に応じて,その借入限度内で資金を引き出すことを認める融資方式をいう。
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百科事典マイペディア 「スタンドバイクレジット」の意味・わかりやすい解説

スタンドバイ・クレジット

(1)外国為替を扱う自国の銀行が外国銀行に対して発行する債務保証のための信用状のこと。信用予約の一種で,通常は待機stand-byの状態で,債務返済が行われるかぎり行使されないことから,この名がある。日本企業の海外支店が現地で外国銀行から融資を受ける場合,日本の為替銀行がこれを発行するが,企業が返済できないときは発行元の銀行が代わって返済する。日本では主に原油の取引に用いられており,石油輸入業者が外国銀行との間で米ドル借入れの取引を結び,邦銀に米ドル建てのスタンドバイ・クレジットを開設している。(2)IMF(国際通貨基金)と加盟国が貸出し予約であるスタンドバイ取決めを締結し,限度内で段階的に引き出されるクレジットのこと。引出しは,借入国の国際収支実績,インフレ率などの判断基準の達成状況によって左右される。IMF協定上では,スタンドバイ・アレンジメントの語が用いられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタンドバイクレジット」の意味・わかりやすい解説

スタンドバイ・クレジット
standby credit

(1) 日本の現地法人の自己信用力が足りなくて,現地の銀行から借入れができない場合,信用力の不足を補うため邦銀が債務保証を行うために発行するクリーン信用状 (船荷証券など商品を化体する書類を必要としない信用状) の一種。 (2) 国際通貨基金 IMFなどの国際機関や各国中央銀行間で一定期間内で包括的な信用供与枠を設定し,その範囲内で随時資金の引出しができる信用供与の方式。これは金融市場の安定に貢献している。

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世界大百科事典(旧版)内のスタンドバイクレジットの言及

【IMF】より

…しかし,50年代の後半には,それまでIMFを中心的に支えていたアメリカの地盤低下に加え,ヨーロッパ諸国が力強い復興により通貨の交換性を回復し8条国(IMF協定上,戦後の過渡期において国際収支上の理由から例外的に為替制限の維持を認められている国を14条国,協定どおり,これらの制限の除去の義務を受諾した国を8条国という)に移行し,日本も遅ればせながら64年に8条国に移行するに及び,ドルの信認低下に対処するための施策が中心課題となった。かかる背景のもとに先進諸国は,金相場安定協定,金プール協定,中央銀行間のスワップ協定,金の二重価格制,利子平衡税(アメリカ)等をつぎつぎに打ち出したが,IMF自身としても,1962年には従来の資金源の枠外に,主要加盟国10ヵ国(アメリカ,イギリス,西ドイツ,フランス,イタリア,日本,カナダ,オランダ,ベルギー,スウェーデン)による発足時60億ドルのいわゆる一般借入取決め(GAB)によるスタンドバイ形式の資金(スタンドバイ・クレジット)増加を決定し,大口貸出しに対処することにした。この構成メンバーである10ヵ国(G‐10)は,その後の通貨制度改革や国際金融上の重要事項決定につき随時会合し(10ヵ国蔵相会議),大きな役割をもつに至った。…

※「スタンドバイクレジット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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