スナギンチャク

改訂新版 世界大百科事典 「スナギンチャク」の意味・わかりやすい解説

スナギンチャク (砂巾着)

花虫綱スナギンチャク目Zoanthariaに属する腔腸動物(刺胞動物)の総称。薄い膜状ないし厚い盤状の共肉が,岩石貝殻や生きた動物の体上を覆い,共肉からポリプを不規則に生じている。一般に亜熱帯や熱帯海域のサンゴ礁の干潮時に干上がるような場所に多い。ポリプは共肉から円筒状にのびたものや,共肉の表面からわずかに突出するものなどまちまちである。ポリプには約20~50本の触手があり,共肉やポリプの体盤に砂粒を含んでいるものもある。ヤドカリスナギンチャクではヤドカリがすむ巻貝の殻を共肉が覆い,ついには貝殻を融解してヤドカリを包んでしまう。群体のポリプは,雌雄同体後,雌から雄へ変化する雌性先熟を行うために,無性,雌性,雄性,雌雄同体の各ポリプが入り混ざっている。また,イワスナギンチャクPalythoa tuberculosaでは雌性ポリプの毒性が強く,卵1gに含まれる毒でマウス2tを殺すことができるといわれる。日本にはヤツマタスナギンチャク,ヤドカリスナギンチャク,センナリスナギンチャク,マメスナギンチャクなど多数がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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