翻訳|spindle
工作機械では軸端に工作物や工具をつけて回転させるための軸であるが,繊維機械では,粗紡機,精紡機,撚糸(ねんし)機などで糸に撚り(より)をかけ,巻き取るボビンの軸のことである。リング精紡機では1万~2万rpm(オープンエンドの加撚部では2万~6万rpm,仮撚加工機の仮撚部では10万rpm以上)で回転する。リング精紡機のスピンドルでは,ブレード(回転軸)をベアリングのついたインナーチューブで支え(ピボット形式),このチューブは頭部の1ヵ所がスプリングによりソケットの首孔に支えられている。ブレードは回転しながらインナーチューブといっしょに傾くことができるので,その頭部が回転の中心をそれようとする傾向が生じても,こまの原理で安定に回転し,振動を防ぐことができる。駆動の方式には,チンローラーの回転をテープによりワーブのところでブレードに伝達するものと,タンジェンシャルベルトドライブによるものとがある。粗紡機では歯車により回転させ,特殊なものでは単独モーターによるものもある。またスピンドルへの注油が問題になるが,オープンエンドのスピンドルには多孔質静圧気体軸受も使用されている。なお精紡機ではスピンドルは錘(つむ)/(すい)とも呼ばれ,紡績工場の規模はスピンドルの数(錘数)によって表示される。錘は紡錘とも書き,新石器時代から使用された紡錘車(糸を紡ぐ道具)の回転軸もスピンドルである。
執筆者:近田 淳雄
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(斎藤幾郎 ライター / 2008年)
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…真直軸がもっとも多く使用されるが,自動車のエンジンのようにピストンの往復運動を回転運動に変える場合,および往復動ポンプのように電動機の回転運動をピストンの往復運動に変える場合にはクランク軸が多用される。機能から分類すると,電動機の回転子と扇風機の回転羽根を連結する軸のように,ねじり作用を受けながら回転することにより動力を伝達する伝動軸,貨車の車輪の軸のようにねじり作用を受けず,単に軸直角方向の荷重を支えて曲げ作用を受ける車軸,紡織機などに使用されている軸のうち直径が太くて軸のたわみ量が小さく,軸の回転中心を精度よく保持するスピンドル,コイルを巻いて作ったり,あるいは短い軸を自在継手などで多数連結し,曲がった経路に沿って回転運動を伝達できるように,中心軸がある程度自由に曲げられるたわみ軸などになる。 高速回転に用いられる軸の場合,回転速度が軸の横振動の固有振動数と一致する速度に達すると,一種の共振現象が生じて,軸の激しい振れ回りが起こる。…
… 紡錘車は長い間使用されたが,やがて紡車が発明され,紡車の部品,つむ(紡錘)として利用された。英語では,このような回転軸のことをスピンドルspindleと呼び,現代の紡績機械でも,糸に撚りをかけるための回転軸をスピンドルまたは〈つむ〉と称し,その数を錘(すい)で数える。紡車【近田 淳雄】【坪井 清足】。…
※「スピンドル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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