エーゲ海の中央に位置する,キクラデス諸島以外のギリシア領の島々。〈散開〉を意味するスポラデスの名のとおり,点々と散る比較的大きな島からなり,むしろ西と呼ばれるべき北スポラデスと,ずっと東よりの南スポラデスに分かれる。北には西からスキアトスSkíathos,スコペロスSkópelos,スキロスSkírosをはじめとする島々が属し,南は小アジア本土にきわめて近いレスボス,キオス,サモス,イカリアIkaríaなどの島々からなる。スキアトス島は面積80km2弱,人口約3900。土地は肥沃でブドウ,オリーブ,果物,穀物などを産し,漁業もさかんである。美しい砂浜があるので近年は海水浴客を多く集めている。スコペロス島は面積120km2,人口約4500。水が豊富なことで有名で,ブドウ,アーモンド,ナシなどを産する。スキロス島は面積200km2,人口約3000。小麦,オレンジ,レモン,はちみつ,ブドウ酒などの農産物のほかに,1961年に再開された石切場からは,上質の大理石を産する。
執筆者:池澤 夏樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ギリシア東部、エーゲ海にある島々。北スポラデス諸島と南スポラデス諸島からなる。スポラデスとは「散在する島々」の意で、古代には一般にエーゲ海上の島嶼(とうしょ)をさした。北スポラデス諸島には、トラキア・スポラデス(イムロス、サモトラキ、タソス、リムノス、聖エフストラティオスおよび周辺の島々)と、テッサリア・スポラデス(狭義のスポラデスで、エビア半島北東のスキアソス、スコペロス、ペリステリ、スカンズーラ、スキロスなどの各島)が含まれる。南スポラデス諸島は、西スポラデス(イドラ、スペッツア、ポロスなどの各島)、東スポラデス(ドデカネス諸島を除く小アジア近くの島々)、およびドデカネス諸島からなる。オリーブ油、ワイン、果樹栽培、漁業、ヒツジとヤギの放牧が産業の中心をなす。狭義のスポラデス諸島の中心はスキロス島で、大理石の産地として知られる。
[真下とも子]
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