改訂新版 世界大百科事典 「スルメイカ」の意味・わかりやすい解説
スルメイカ (鯣烏賊)
Japanese common squid
Todarodes pacificus
日本でもっともふつうに食用とされている頭足綱アカイカ科のイカ。外套(がいとう)長30cmくらいで背中線に黒い縦筋があり,ひれはひし形で先端の背面に広がる。腕は外套長の半分くらいで吸盤は2列,触腕は腕より長いが外套長より短い。サハリンから九州,朝鮮半島,沿海州などの水深30~100mにすむ。主要な産卵場は東シナ海を中心として九州南方にわたる。産卵は夏~冬で,海中に放卵され,12~5月ころ孵化(ふか)して,1年で成体となり群泳する。これは“冬生れ群”として太平洋側に海流で運ばれ,三陸~北海道海域で漁獲される。また九州西方から日本海西部にかけての産卵は,おもに9~11月ころ行われ,同様に“秋生れ群”として,日本海の沖合漁業でとられる。年間30万~60万tの漁獲量がある。おもに夜間に水深30mくらいまで浮上したものを集魚灯で集め,擬餌針をつけたはえなわをドラムで巻き上げて釣るが,一部は底引網,定置網などでとられる。生食のほか,するめにするが,ケンサキイカの〈一番するめ〉に対して〈二番するめ〉と呼ばれ,産地により〈松前するめ〉〈南部するめ〉〈佐渡するめ〉などの名もある。
→イカ
執筆者:奥谷 喬司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報