山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説
ソヴィエト社会主義共和国連邦(ソヴィエトしゃかいしゅぎきょうわこくれんぽう)
(SSSR) Soiuz Sovetskikh Sotsialisticheskikh Respublik[ロシア],(USSR) Union of Soviet Socialist Republics[英]
略称ソ連。バルト海岸より太平洋岸に至るユーラシア大陸北側に広がり,南は黒海と中央アジアに至る巨大な国家。革命によって生まれたロシア社会主義ソヴィエト共和国を中心に4カ国で1922年に結成され,40年に15共和国の連合と最も拡大し,ペレストロイカ後の91年に解体した。最盛時の面積2240万km2,人口2億8671万人(1989年)。構成共和国が主権の一部を差し出して連合国家をつくり,いつでも離脱は自由であるという建前になっていたが,実質的には単一の共産党(ロシア共産党,全連邦共産党,ソ連共産党)が統治と人事の管理を独占した。経済的には,土地と主要な生産手段はことごとく国有化され,工業,運輸,通信は完全に計画経済として運営されていた。農業は集団農場と国営農場があったが,前者も実質的に国家管理のもとに置かれていた。1929年に始まったスターリンの「上からの革命」で農業集団化が断行され,五カ年計画方式で急速な工業化が推し進められた。30年代半ばにソ連式の社会主義体制の骨格が完成した。だが,日独挟撃の恐怖にさらされたため,30年代後半には国内に浸透した日独の手先を除去するという名目で大粛清が行われた。この結果,赤軍は多くの人材を失ったが,工業化でつくりだされた軍需産業の発展は,41年からの独ソ戦にソ連が勝ち抜く土台を与えたと評価される。ヒトラーのドイツを打倒する戦いで主力の役割を果たし,2700万人の人口損失を出しながら勝利を収めたのはソ連社会主義の功績である。戦後は,アメリカと並ぶ世界の超大国となり,核兵器を開発して,冷戦の一方の旗頭となった。57年には人工衛星スプートニクを飛ばし,人類初の宇宙飛行を行った。無料の高等教育と無料の医療,国民皆年金制,行き届いた都市の公共交通などがこの国の達成であるが,政治的自由と民主主義は制限されたままだった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報