翻訳|Tashkent
中央アジアのオアシス都市で,ウズベキスタン共和国の首都。人口214万(2001)。タシュケントともよばれる。シル・ダリヤ中流右岸の支流チルチクChirchik河畔にある。シル・ダリヤ右岸一帯は古くから東西交易路上にあり,かつ北方の遊牧地帯と南方農耕地帯との境界でもあり,政治的・経済的な要地であった。タシケントもこの立地条件に由来して,交易による繁栄と複雑な政治的支配の変動を経験した。このオアシスの存在の確実な記録は6世紀に編纂された中国の正史《魏書》に〈者舌国〉と見えるのが最初で,これは当時のアーリヤ系住民の現地名チャーチChāchの音訳である。7世紀以降の突厥(とつくつ),カラ・ハーン朝などのトルコ族の進出による地域のトルコ化の結果,モンゴル支配下の13世紀ころからトルコ語で〈石の町〉を意味するタシケントと呼ばれるようになった。15世紀のティムール朝や16世紀のウズベク,カザフの交互の支配の後,18世紀末にはホーカンド・ハーン国の領域に入った。当時の人口は2万程度にしかすぎなかったが,19世紀後半のロシアの占領以降,その中央アジア経営の拠点として拡張が進み,共和国の成立以降は繊維・機械工業をはじめ工業も盛んとなり,文化面でも総合大学,博物館などを擁し,旧ソ連邦で有数の大都市に発展した。
執筆者:堀 直
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