タンパク(蛋白)質(読み)たんぱくしつ

百科事典マイペディア 「タンパク(蛋白)質」の意味・わかりやすい解説

タンパク(蛋白)質【たんぱくしつ】

生物体の構成成分として重要な含窒素有機化合物。20種のL-α‐アミノ酸ペプチド結合(−CO−NH−)により多数縮合したポリペプチドで,一次から四次までの構造をとる。一次はアミノ酸配列,二次はらせんなどの部分的な立体配置,三次はポリペプチド鎖1本の全立体構造,そして四次構造は複数のポリペプチド鎖の空間配置を指す。分子の形状から繊維状タンパク質,球状タンパク質に分けられ,また成分の違いからアミノ酸のみからなる単純タンパク質と,核酸,糖,脂肪,色素などと結合した複合タンパク質などに分けられる。ケラチン等の硬タンパク質を除き,水・塩類に溶けてコロイド溶液になる。また一般に不安定で,酸,アルカリ攪拌(かくはん),紫外線などで構造・性質が変化し,特に加熱によって一定温度で凝固する。検出にはビウレット反応キサントプロテイン反応ミロン反応などの特有の呈色反応が利用される。多くのものは抗原性をもち,注入を受けた動物の血清中に抗体を生じさせる(抗原抗体反応)。 食物として摂取されたタンパク質は各種のタンパク質分解酵素でアミノ酸に加水分解され,小腸から吸収,各組織で固有なタンパク質に再合成される。酸化エネルギーは1g当り約4.3kcal。不用なものは脱アミノされ,生じたアンモニア尿素として排出される(尿素回路)。細胞内のタンパク質合成は主としてリボソームで行われる。タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序はDNAヌクレオチドの配列によって決められ,このDNAの情報はメッセンジャーRNAmRNA)に転写され,mRNAは細胞質へ移動してリボソームに付着。mRNAのヌクレオチド配列に従って転移RNAtRNA)に運ばれたアミノ酸が縮合し,特定のポリペプチドが形成される。ポリペプチドはリボソームより遊離し特有の立体構造をとり生物活性をもつタンパク質となる。
→関連項目アミノ酸栄養トリプシンペプチド

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