インドのアーグラ市にあり,ムガル帝国のシャー・ジャハーンが造営した愛妃の廟墓。名称は妃の名ムムターズ・マハルMumtāz Mahalに由来する。1632年着工し,43年完成したとする説が有力。広大な庭園の三方を壁で囲み,ヤムナー川で限られた北辺中央に白大理石造の廟堂が建つ。56m四方の基壇の四隅にミナレット(尖塔)があり,廟堂の中央の大ドームは高さが58mある。さまざまな色の石を象嵌して壁面を飾るほか,透し彫や浮彫による繊細な装飾がある。大広間の中央に王妃の墓石,そのかたわらに王の墓石があるが見せかけのもので,遺体を納めた真の墓石はその直下の地下室に安置されている。インド・イスラム建築の傑作で,均斉のとれた清純な美しさの中に弱さもあわせもつ。
執筆者:肥塚 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 KNT近畿日本ツーリスト(株)世界遺産情報について 情報
…当時のアーグラ城は,今日,町の中央ヤムナー河畔に残る。これより約2km東に,世界最高のイスラム墓廟とされるタージ・マハルがある。これはシャー・ジャハーンが,愛妃のために1632年から22年の歳月を要して建立したもの。…
…それらは大きなドームとアーチを多用し均斉のとれた構成になり,16世紀のムガル朝の出現とともにその様式の完成をみた。デリーのフマーユーン廟墓(1565),アーグラのタージ・マハル廟墓(1652),デリー城,アーグラ城などがその代表例である。
[彫刻]
彫刻はおもに建築に付属して展開し,石彫が大部分であるが,ほかにスタッコ(塑土),テラコッタ(焼成粘土),ブロンズも用いられた。…
…晩年は皇子の間に帝位継承戦争がおこり,アウラングゼーブによって廃位させられた。なお,アーグラにあるタージ・マハルは,31年に死去した妃のために造らせたものである。【小名 康之】。…
※「タージマハル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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