ダム(英語表記)dam

精選版 日本国語大辞典 「ダム」の意味・読み・例文・類語

ダム

〘名〙 (dam) 河川渓谷を横断して水の流れをせき止め、水や土砂を貯える構造物。降雨による急激な水や土砂の流出を防ぎ、他方、貯えた水を農地灌漑発電都市上水道などに利用する。アーチダム重力ダムバットレスダムロックフィルダムアースダムなどがある。堰堤
※春と修羅(1924)〈宮沢賢治風景オルゴール呼吸のやうに月光はまた明るくなり 雲の遷色とダムを越える水音

ダム

(Carl Peter Henrik Dam カール=ピーター=ヘンリック━) デンマークの生化学者。アメリカ研究を続け、ビタミンKを発見。一九四三年ノーベル生理・医学賞受賞。(一八九五‐一九七六

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デジタル大辞泉 「ダム」の意味・読み・例文・類語

ダム(dam)

発電・利水・治水・砂防などの目的で、河川をせき止め、上流部に水を蓄える構造物。アーチダム重力ダムバットレスダムロックフィルダムアースダムなどがある。堰堤えんてい
[類語]堰堤沼沢湖沼泥沼古池溜め池貯水池人工池遊水池用水池水瓶湖水淡水湖鹹水湖塩湖河跡湖三日月湖火口原湖火口湖陥没湖人造湖

ダム(Carl Peter Henrik Dam)

[1895~1976]デンマークの生化学者。ビタミンKを発見し、その性質や生理作用を研究・解明。1943年、ノーベル生理学医学賞受賞。

ダム(Damme)

ベルギー北西部の町ダンメのフランス語名。

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百科事典マイペディア 「ダム」の意味・わかりやすい解説

ダム

堰堤(えんてい)とも。利水,治水などのため河川をせき止めるコンクリート,土等の構造物。水力発電,灌漑(かんがい),水道,洪水調節などのための貯水ダム,取水のため水位を上げる取水ダムのほか,特殊なものに砂防ダムがある。材料面からは土,砂れき,ロック(岩塊)でつくられるフィルダム,コンクリートでつくられるコンクリートダムが主である。フィルダムには半分以上がロックからなるロックフィルダムと土を盛り立てて堤体とするアースダムがあり,またコンクリートダムは設計理論からアーチダム重力ダム中空重力ダムバットレスダムに大別される。
→関連項目水力発電多目的ダム

ダム

デンマークの生化学者。コペンハーゲン工科大学卒。第2次世界大戦中は米国で研究。戦後帰国して母校の教授。コレステロールを含まない餌を与えたニワトリが出血性の症状を示すことからビタミンKを発見,それがプロトロンビン合成に関与していることを明らかにした。1943年ドイジとともにノーベル生理医学賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダム」の意味・わかりやすい解説

ダム
dam

灌漑,発電,治山治水などのため,河川や渓谷をせき止めて水を蓄える構造物。目的によって水道用,灌漑用,発電用,砂防用などと呼ばれ,複数の役割を果たすものは多目的ダムと呼ばれる。構造材料に基づき,コンクリートダム,土砂を盛ってつくるアースダム,岩石を積み上げてつくるロックフィルダムなどに分類される。また,コンクリートダムは,その構造方式によって,重力ダム,中空重力ダム,アーチダム,バットレスダムなどに分けられる。古代のアッシリアやエジプトで築造が始まり,技術や社会経済の発達に伴い,その様式や規模も変遷を重ねてきた。近年は経済的効果から巨大化の傾向がみられる。有名なものに,世界最大規模の発電量をもつ中国の三峡ダム(1994~2009)やパラグアイのイタイプダム(1975~82),堤高で 300mと世界最大級のタジキスタンのヌレクダム(1980竣工),堤高 285mのスイスのグラン・ディクサンスダム(1951~61)などがある。日本国内では,奥只見ダム(1953~61)や黒部ダム(1956~63)などが知られる。

ダム
Dam, (Carl Peter) Henrik

[生]1895.2.21. コペンハーゲン
[没]1976.4.24. コペンハーゲン
デンマークの生化学者。コペンハーゲン工業大学卒業 (1920) 。同大学助教授 (28) ,準教授 (29) 。 1934年同大学で学位取得。 40年アメリカに渡り,主としてロチェスター大学で研究を続けた。 46年帰国し,母校の生化学教授。コペンハーゲン大学準教授の時代,ニワトリの雛のコレステロール代謝を調べているときビタミンKを発見し,39年に,E.ドイジとは独立に,アルファルファからビタミン (のちにビタミン K1 と呼ばれた) を単離,報告した。この業績によって,ドイジとともに 43年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。

ダム
Damme

ベルギー西部,ウェストフランデレン州の町。ブリュッヘの北東方に位置し,かつてはズワイン川の三角江にあって,13~14世紀には同市の外港としてにぎわい,その海事法はハンザ同盟の商人たちを支配した。 15世紀にズワイン川に土砂が堆積し,港湾の機能を失った。現在ではポルダー (干拓地) 上の農業集落。中世の名残りはノートル・ダム聖堂 (1225~1485) ,市庁舎 (64~68) ,博物館の建物などにみることができる。人口1万 645 (1991) 。

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世界大百科事典 第2版 「ダム」の意味・わかりやすい解説

ダム【dam】

河川,渓谷,凹地などを横断して,貯水,取水,水位の上昇,あるいは貯砂のためにつくる構造物。世界ダム台帳にのせられる大ダムは,高さ15mを超えるダムと,高さが10~15mで天端の長さが500m以上のもの,ダムによる貯水池の容量が100万m3以上のもの,ダムで処理される最大洪水量が2000m3/sを超えるもの,基礎に特別な困難をもったもの,特別な設計を行ったもののすべてである。
【ダムの歴史】
 エジプトやアラビア半島には石積みダムの遺跡がいくつか残っているが,前2900年ころにエジプトの王メネスが,メンフィスに導水するため20km離れたナイル川のコシェイシュに高さ15m,堤長450mの石積みダムをつくったとされており,これがダムのもっとも古い記録である。

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世界大百科事典内のダムの言及

【土木技術】より

…ハードウェアそのものの構造物から,むしろソフトウェアとして行為に重点のある開発まで,土木技術の対象は非常に幅が広いというべきであろう。 構造物のおもなものとしては橋,トンネル,ダム,基礎構造物があげられる。橋は地形,人工の障害を克服する一つの手段であり,道路橋,鉄道橋ばかりでなく,水道橋をはじめ種々の管路のための橋もある。…

【誘発地震】より

…ダムの貯水,深井戸への大量の水の注入,地下核実験など人間の行為が引金となって発生する地震。地殻の構造や応力などが地震が起こりうる状態に近くなっているとき,これら人為的作用がその発生を促進するため起こるものと考えられる。…

※「ダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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