精選版 日本国語大辞典 「ダン」の意味・読み・例文・類語
ダン
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イギリスの詩人。形而上派詩人(メタフィジカル・ポエット)グループ(16世紀末~17世紀中期)の中心的存在。ロンドンに生まれる。母は劇作家J・ヘイウッドの娘であり、カトリックで、トマス・モアの家系に連なる。オックスフォード、ケンブリッジ両大学で学んだのち、リンカーン法学院に入る。青年時代は、遊蕩(ゆうとう)児の評判をとる。国璽尚書(こくじしょうしょ)エジャートン卿(きょう)秘書となったが、1601年卿の姪(めい)アン・モアとの秘密結婚が露見したため公職の道を断たれ、不遇の時代が続き、その間、神学の研究に没頭したと考えられている。15年聖職につき、21年には国王ジェームズ1世によりロンドンのセント・ポール大聖堂の首席司祭に任ぜられ、雄弁な説教者としてその名は一世を風靡(ふうび)した。
聖職就任以前の作と考えられる恋愛詩は、エリザベス朝期流行の典雅なペトラルカ・スタイルをしのぐ詩風で、冷徹なリアリズムとシニシズム、強靭(きょうじん)な論証スタイルを特色とする。ダンの死後、墓から恋人の形見「白骨に絡まる金髪の腕輪」が発見されるという衝撃的イメージなどが20世紀に入り再評価を受け、T・S・エリオットら現代詩人に影響を与えた。「聖列加入」「蚤(のみ)」「ベッドに入る恋人へ」など恋愛詩は死後の1633年刊の『詩集』(「唄(うた)とソネット」を含む)で初めて公にされた。「ガウンが滑り落ちて露(あら)わになる美しさは/山影がひいて現れる花いっぱいの草原」「一度抱いたらミイラにすぎぬ」などの詩句にみる露骨な官能性、冷笑、エロス的哄笑(こうしょう)、スコラ的機知、また「歴史にその名を残さぬ2人でも/愛の詩(うた)がぼくたちの美しい納骨堂だ」と歌う死をめぐる愛と闇(やみ)の思いなど、反発し牽引(けんいん)しあう諸要素の緊張をはらむ点でマニエリスム文学の典型と目される。そして「キリストの花嫁」の一節、「心やさしい夫(キリスト)よ、嫌がるあなたの花嫁を私たちの前にお見せ下さい/そして愛欲に濡(ぬ)れる私の心にあなたのその慎み深い白鳩を口説かせて下さい」のように、彼の宗教詩には魂のテーマを肉体のイメージで表現するカトリック的感性が顕著である。これは「誰(た)がために鐘は鳴る、そは汝(なんじ)のためなり」などの句で知られる説教や祈祷(きとう)文についても同様で、散文家としても名高い。
[河村錠一郎]
『川崎寿彦著『ダンの世界』(1967・研究社)』▽『藤井治彦・高階秀爾・河村錠一郎他著『ルネッサンスと反ルネッサンス』(1974・学生社)』
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…広い意味では一般に哲学的思弁の詩(たとえばルクレティウスの《物の本質について》やダンテの《神曲》)をさすこともあるが,厳密には17世紀前半の英詩の一つの流派によって書かれた,機知と奇想conceitを特色とする詩を呼ぶ。すなわちエリザベス朝後期の詩人・神学者であったJ.ダンに始まり,G.ハーバート,R.クラショーらをへて,ピューリタン革命期のA.カウリー(クーリー),H.ボーン,A.マーベルにいたる詩の流れである。…
…バザーリとその同時代の理論書では,ミケランジェロとレオナルド・ダ・ビンチ,ラファエロの〈手法〉を知ることにより高度の理想美が実現できると考えられたが,これは,芸術表現において初めて,意識的に〈様式〉の自覚が行われたことを意味し,古代ギリシア以来のミメーシス(模倣)の理論に対する一つの変革であった。 しかし,17世紀のバロック古典主義,バロック自然主義のいずれもが,16世紀の主知的様式主義を芸術の堕落として敵視し,とくに美術理論家G.P.ベローリは,このマニエラを自然から離れた虚偽の人為的な芸術であり,芸術のデカダンスであると非難したため,新古典主義が主導権を握った17~18世紀を通じて,マニエラとマニエリスムの双方が著しく価値をおとしめられ,19世紀にいたるまで,マニエラは〈型にはまった同型反復〉,マニエリストは〈巨匠の模倣をする,創造性を欠く追従者〉として位置づけられた。マニエリスムの再評価は,19世紀後半以降1920年代にかけて,印象主義から表現主義,シュルレアリスムにいたる芸術運動の展開と呼応して行われた。…
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