チャドウィック(Lynn Chadwick)(読み)ちゃどうぃっく(英語表記)Lynn Chadwick

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

チャドウィック(Lynn Chadwick)
ちゃどうぃっく
Lynn Chadwick
(1914―2003)

イギリス彫刻家。ロンドンに生まれる。当初建築家を志したが、第二次世界大戦中パイロットとして従軍したのち、戦後になって彫刻を始めた。初めコルダーの影響を受けてモビールや溶接した鉄を用いた構成などを試みた。1950年代初頭から鋳鉄、溶接した鉄やブロンズなどを用いて、人体や動物をモチーフにした重量感のある彫刻作品を制作。細い脚に支えられた鋭角的で骨張った形態と表面の荒々しい効果とが彼独自の彫刻空間をつくりだした。56年の第28回ベネチア・ビエンナーレ展では国際彫刻大賞を受賞。60年代にはミニマル・アートの影響を受けたが、70年代には具象に回帰し、80年代になると鋼板を用いた実験を試みた。代表作に『内なる眼(め)』(1952・ニューヨーク近代美術館)などがある。

[谷田博行・小西信之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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