ツワブキ(読み)つわぶき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツワブキ」の意味・わかりやすい解説

ツワブキ
つわぶき / 橐吾
[学] Farfugium japonicum (L.) Kitam.

キク科(APG分類:キク科)の多年草根茎は太く、長い柄のある根出葉を数枚出す。葉身は質が厚く腎(じん)形。上面は深緑色でつやがある。11月~1月、高さ50~80センチメートルの太い花茎を出し、多数の頭花を散房状につける。頭花は舌状花と管状花からなり、開花径が4~6センチメートルで美しい。痩果(そうか)は長さ0.5~0.7センチメートルで、毛を密生する。冠毛は汚褐色で、長さ0.8~1.1センチメートル。海岸に生え、福島県、石川県以西の本州から沖縄、朝鮮半島、台湾および中国大陸の東部に分布する。

 葉が常緑で美しく、また花の少ない冬期に花を咲かせるので、古くから庭に植えられ、観賞用のいろいろな品種がある。民間薬としては葉をもんだり、火であぶって柔らかくし、腫(は)れ物や湿疹(しっしん)、切り傷などの上にはる。また解毒剤として用いる。名は、葉につやがありフキによく似ることによる。

[小山博滋 2022年3月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツワブキ」の意味・わかりやすい解説

ツワブキ
Farfugium japonicum

キク科の常緑の多年草。石蕗とも書く。日本特産で暖地の海岸近くに自生するが,庭にもよく植える。太い根茎があり,葉はフキに似た幅の広い腎臓形で厚く,表面光沢があり質は硬い。秋から冬にかけて,太い花茎を伸ばし,鮮かな黄色の頭状花を数個総状につける。頭花は径4~6cmで,外周に長さ3~4cmの舌状花が放射状に並ぶ。葉柄はフキと同様に食用にされる。九州の屋久島には同属の近縁種カンツワブキ F. hiberniflorumがある。

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世界大百科事典 第2版 「ツワブキ」の意味・わかりやすい解説

ツワブキ【Farfugium japonicum (L.) Kitam.】

太平洋側では福島県以南,日本海側では石川県以南の日本,朝鮮半島南部,台湾および中国中部の海岸に生育するキク科の多年草(イラスト)。根茎は太く,長い柄のある常緑の葉を根生する。若葉は灰褐色の綿毛をかぶっているが,生長した葉はほぼ無毛となり,葉の表は濃緑色で光沢がある。葉身は円状腎形で大きく,縁に不整歯牙がある。花は10~12月,太い花茎の先にやや散房状につく頭花である。頭花は中央部の両性の筒状花と周辺部の雌性の舌状花とからなる。

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百科事典マイペディア 「ツワブキ」の意味・わかりやすい解説

ツワブキ

キク科の多年草。本州中部以南の日本,東アジアの暖〜亜熱帯に分布し,海岸にはえる。葉は腎臓形で厚く,光沢があり,長い柄があって,根生する。花茎は高さ30〜75cm。頭花は黄色で径4〜6cm,舌状花と筒状花からなり,10〜12月に開花。果実には密に毛がある。観賞用に数品種がある。

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栄養・生化学辞典 「ツワブキ」の解説

ツワブキ

 [Farfugium japonicum].キク目キク科ツワブキ属の常緑多年草.若い葉柄を食用にする.

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