翻訳|dinner
西洋料理の正餐(せいさん)のこと。元来は1日の食事のうち内容のもっとも豊かなものをさしていたが、現在は夕食を意味することが多い。家庭でのディナーは、だんらんのうちに友や家族と料理をおいしく味わうことが目的で、料理の出し方は形式にこだわらず略式のものでもよい。正式のディナーでは会の目的と主客があり、主人役は招待状の発送に始まり、季節を加味した献立の作成、部屋や酒の準備、着席順決定、調理、食卓用意など細かい準備が必要である。ディナーの献立はフルコースとよばれ、内容の豊富な質の高いもので、一定の順序によって供される。献立の内容にしたがって、食器、酒器の数も多様となる。
[小林文子]
(1)食前酒(アペリチフ) シェリー、ベルモットなど。(2)オードブル(前菜) 一品または盛合せで、冷製が多いが温前菜もある。生ガキ、キャビア、カナッペ類、コキールなど。(3)スープ コンソメ、ソラマメのクリームスープ、エビのビスクなど。(4)魚料理 アマダイ紙包み焼き、ヒラメボンファム、クルマエビアメリカ風など。(5)アントレ ビーフブルギニョン、子牛の煮込み昔風ロースト、すなわちローストビーフ、ターキー、チキンなどの野菜添え。(6)サラダ グリーンサラダ、ウォルドルフサラダ、キュウリのサラダなど。(7)チーズ ロックフォール、カマンベールなど。(8)デザート ババロア、栗(くり)のスフレなど。(9)フルーツ 季節の果実でメロン、パパイヤなど。(10)コーヒー デミタス、プチガトー数種を盛り合わせる。ほかに食卓には、ワイン類とパンが供される。ディナーの席では、服装、テーブルマナー、話題などについて、主人側、客側、双方の配慮がたいせつである。
[小林文子]
正餐(せいさん)ともいう。1日のうちで最も重要な食事,または正式の献立による食事のうち,とくに晩餐をさす。英語のdinner,フランス語のディネdînerともに俗ラテン語のdisjejunare(断食を破る)から派生したことばである。ディナーをとる時間は時代によって大きな変化がみられた。例えばフランスではシャルル5世(在位1364-80)のころには午前9時にとる朝食であったが,ルイ14世(在位1643-1715)の時代には午前11~12時,ルイ15世(在位1715-74)のころには午後2~3時にとる午餐となり,一日中で最も重要な食事の意味をもつようになった。その後さらに遅くなり,ナポレオン1世時代(在位1804-15)には午後5時,そして現代になって午後7~8時ごろにとる晩餐をさすようになった。日本ではディナー・パーティ(晩餐会)など正式な献立による食事をさすことが多いのに対し,欧米では一般に簡素な献立の〈夕食〉もディナーと呼んでいる。なお正式な献立による場合は,フランス料理が用いられる。
→フランス料理
執筆者:辻 静雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…
[調理法と献立]
フランス料理の基本的な調理法を材料の火の通し方によって分類すると表のようになる。 日本でフルコースと呼ばれるフランス(西洋)料理の正餐(せいさん)(ディナー)の献立を,出される順に説明すると次のようになる。(1)オードブル,(2)スープに,(3)魚料理が続く。…
※「ディナー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新